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傷を癒す技術:代用皮膚の可能性

私たちの体は、外界と触れ合う場所である皮膚によって守られています。皮膚は、細菌やウイルスなどの侵入を防いだり、体温を調節したりするなど、私達が健康な生活を送る上で欠かせない役割を担っています。しかし、やけどや事故、手術などによって、この大切な皮膚が傷ついてしまうことがあります。皮膚の損傷は、見た目の問題だけでなく、細菌感染のリスクを高めたり、体内の水分が失われやすくなったりするなど、健康にも大きな影響を与えます。このような皮膚の損傷を治し、失われた皮膚の機能を補うために、様々な治療法が開発されてきました。その中でも近年、特に注目を集めているのが「代用皮膚」です。代用皮膚とは、まるで自分の皮膚のように、傷口を覆い、皮膚の再生を促す人工的に作られた皮膚のことを指します。代用皮膚は、実際の皮膚と同じような構造や機能を持つように作られており、傷口を外部の刺激から守りながら、皮膚の細胞が再生しやすい環境を整えます。従来の治療法と比べて、傷跡が目立ちにくく、治癒を早める効果も期待できることから、医療現場で広く活用され始めています。
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命を守る緊急処置:焼痂切開の重要性

私たちの体を外部の刺激から守ってくれる皮膚は、熱によって様々な程度の損傷を受けます。その中でも、特に高温な物体に触れたり、炎に巻き込まれたりすることで生じる重度の熱傷は、皮膚に深刻な変化をもたらします。Ⅲ度熱傷や深達性Ⅱ度熱傷では、皮膚のすべての層が破壊され、まるで熱い湯で固まった卵の白身のように、白や茶褐色に変色し硬くなります。 この状態は『焼痂』と呼ばれ、皮膚本来の柔軟性や弾力性を完全に失っているため、体の動きを大きく制限してしまうことがあります。例えば、胸やお腹など体幹と呼ばれる部分に広範囲に焼痂が及ぶと、呼吸をする際に胸郭が膨らんだり縮んだりする動きが阻害され、十分な呼吸ができなくなることがあります。 呼吸は生命維持に不可欠な機能であるため、このような場合は直ちに医療機関での治療が必要となります。また、腕や足に広範囲にわたる焼痂が生じた場合、血液の流れが悪くなり、指先が青白くなるチアノーゼや、感覚が鈍くなる、痺れが出るといった症状が現れることがあります。 さらに、重症化すると筋肉が壊死し、手足を切断せざるを得ないケースも少なくありません。このように、熱傷は皮膚の損傷だけでなく、体の機能や生命にも重大な影響を及ぼす可能性があることを理解しておく必要があります。