
放射線の確定的影響とその防護対策
- 確定的影響とは放射線による健康への影響は、大きく分けて確定的影響と確率的影響の二つに分類されます。確定的影響とは、放射線の被ばく量がある一定量を超えた場合に、身体に必ず現れる影響のことを指します。浴びた量が多ければ多いほど、その影響は重篤になります。この確定的影響が現れ始める線量の境目を「しきい線量」と呼びます。しきい線量を超える量の放射線を浴びると、身体に様々な症状が現れます。例えば、比較的軽い症状としては、皮膚が赤くなる、脱毛する、吐き気や嘔吐などが挙げられます。さらに線量が多い場合には、白内障、不妊、骨髄抑制、組織の壊死など、より深刻な症状が現れます。そして、極めて大量の放射線を浴びると、死に至ることもあります。確定的影響は、主に細胞の損傷によって引き起こされます。放射線は、細胞内のDNAを傷つけ、細胞分裂を阻害することで、組織や臓器に悪影響を及ぼします。確定的影響は、医療現場における放射線治療や、原子力発電所事故など、高線量の放射線を浴びる可能性がある場合に特に注意が必要です。