
胸部外傷で見逃せない!気胸、血胸、血気胸とは?
私たちの肺は、胸膜という薄い膜で包まれています。肺と胸膜の間には、わずかな液体で満たされた胸膜腔という空間があります。胸部に強い衝撃を受けると、この胸膜腔で異常が起こることがあります。主な病態として、気胸、血胸、血気胸の3つが挙げられます。気胸は、胸膜腔に空気が入り込むことで肺が圧迫される状態です。息苦しさや胸の痛みを感じ、呼吸が浅く速くなることがあります。重症化すると、顔色が悪くなったり、意識がもうろうとしたりする危険性もあります。血胸は、胸膜腔に出血が起こり、肺が圧迫される状態です。出血量が多いと、酸素を十分に取り込めなくなり、ショック状態に陥ることもあります。血気胸は、気胸と血胸が同時に起こる状態です。空気が入る原因としては、肺を損傷するような外傷が考えられます。呼吸困難や胸の痛み、血圧低下など、気胸と血胸の両方の症状が現れます。いずれの病態も命に関わる危険性があるため、迅速な処置が必要です。特に、交通事故や高所からの落下など、胸部に強い衝撃を受けた場合は、これらの病態を疑い、速やかに医療機関を受診することが重要です。