新生児に脅威となる壊死性腸炎

新生児に脅威となる壊死性腸炎

壊死性腸炎とは

– 壊死性腸炎とは

壊死性腸炎は、生まれたばかりの赤ちゃん、特に小さく生まれた赤ちゃんや未熟児に多く見られる病気です。
赤ちゃんの腸は、お母さんのお腹の中にいる間は発達段階にあります。そのため、生まれたばかりの時期は腸の機能が未熟で、様々な影響を受けやすい状態です。
壊死性腸炎は、何らかの原因で腸の粘膜に炎症が起こり、腸の壁が壊死してしまう病気です。
進行すると腸に穴が開いてしまい、命に関わる危険な状態になることもあります。

壊死性腸炎の主な症状としては、ミルクの飲みが悪くなる、嘔吐、腹部膨満、血便などが挙げられます。
これらの症状は他の病気でも見られることが多いため、注意深く観察する必要があります。

壊死性腸炎は早期発見と適切な治療が非常に重要です。
もし赤ちゃんに上記の症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

発症の原因と時期

この病気は、赤ちゃんがお腹の中にいる時、または生まれてくるときに何らかの原因で腸への血液の流れが悪くなってしまうことで発症すると考えられています。お母さんが出産の前後に強いストレスを感じていたり、赤ちゃんが出産時に呼吸がうまくできず酸素が不足してしまうことなどが、その原因として挙げられます。
この病気は、生まれたばかりの赤ちゃん、特に女の子に多く見られます。そして、そのほとんどが生後10日以内という非常に早い時期に発症するのが特徴です。

主な症状と進行

お腹の張りや吐き気、水のような便が出るといった症状は、多くの人が経験するありふれたものです。しかし、これらは命に関わる病気のサインである可能性もあるため、注意が必要です。特に、血が混じった便が出たり、ぐったりとして元気がなくなったりする場合は、緊急性が高いと言えるでしょう。 これらの症状に加え、発熱や体温の低下が見られる場合もあるため、注意深く観察することが重要です。

これらの症状は、時間の経過とともに急速に悪化する可能性があります。最悪の場合、腸に穴が開いてしまい、命に関わる事態に陥ることもあります。腸に穴が開くと、激しい痛みとともに、腹膜炎などを引き起こす可能性があります。 そのため、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが重要です。 早期発見と適切な治療によって、重症化を防ぎ、命を守ることができるのです。

診断と検査

– 診断と検査

腸閉塞の診断には、まず患者さんの症状を詳しく聞き取ることから始まります。お腹の痛み方やその場所、吐き気や嘔吐の有無、排便の状態などを確認します。

次に、お腹を触って診察を行います。腸が膨らんでいないか、痛む場所はないかなどを調べます。

これらの診察に加えて、お腹のレントゲン検査が重要な役割を果たします。レントゲン写真では、腸閉塞が疑われる場合、腸壁にガスが溜まっている様子や腸の血管にガスが詰まっている様子が確認できることが多く、診断の確定に役立ちます。

腸閉塞は、放置すると命に関わることもあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。少しでもお腹の異変を感じたら、迷わずに医療機関を受診してください。

治療方法と注意点

新生児や乳幼児に多く見られる壊死性腸炎は、腸に炎症が起こり、場合によっては腸の組織が壊死してしまう深刻な病気です。ここでは、この病気の治療方法と注意点を詳しく解説します。

壊死性腸炎と診断された場合、まず、赤ちゃんが口から栄養を摂ることが難しくなるため、点滴によって栄養を補給します。また、腸の負担を軽減するために、胃に溜まった内容物を管を使って吸引します。そして、炎症を抑え、感染症を防ぐために、抗生物質を投与します。

壊死性腸炎が進行すると、腸に穴が開いてしまうことがあります。これは腸穿孔と呼ばれ、緊急手術が必要となる危険な状態です。腸穿孔が起きた場合は、開腹手術を行い、損傷を受けた腸の部分を切除し、繋ぎ合わせる手術を行います。

壊死性腸炎は、早期発見と適切な治療によって救命率が向上する病気です。赤ちゃんの様子がおかしいと感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。

合併症と予後

– 合併症と予後

壊死性腸炎は、赤ちゃんの命に関わる深刻な病気です。腸に炎症が起こり、組織が壊死してしまうため、様々な合併症を引き起こす可能性があります。

まず、腸に穴が開いてしまう「腸穿孔」が起こると、そこから腸の内容物が腹腔内に漏れ出てしまい、激しい腹膜炎を引き起こします。腹膜炎は、放置すると命に関わる危険な状態です。

また、壊死した腸から毒素が血液中に流れ込み、全身に炎症が広がる敗血症も、壊死性腸炎の合併症として非常に恐ろしいものです。敗血症は、多臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。

さらに、血液の凝固異常である「播種性血管内凝固症候群（DIC）」も、壊死性腸炎に伴って発症することがあります。DICは、全身の臓器に血液が行き渡らなくなることで、臓器不全を引き起こし、命に関わる危険性があります。

このように、壊死性腸炎は、治療を行っても助からない場合がある、新生児、特に未熟児にとって大変危険な病気なのです。