大地震後の安全確保:応急危険度判定とは
防災防犯を教えて
先生、『応急危険度判定』って、何ですか?
防災防犯の研究家
良い質問だね。『応急危険度判定』は、大きな地震の後にする、建物の安全確認だよ。地震で壊れちゃった建物が、危ないかどうかを調べるんだ。
防災防犯を教えて
危ないかどうか、どうやって調べるんですか?
防災防犯の研究家
専門家が、建物を見て、壊れ具合や、その後も使えるかどうかを判断するんだ。そして、その結果によって、建物に入れるかどうかが決まるんだよ。
応急危険度判定とは。
大きな地震が起きた後、さらに被害を広げないために、専門家が建物の安全性を調べることを「応急危険度判定」と言います。これは、地震で被害を受けた建物が、その後も続く小さな揺れなどで壊れてしまう危険性や、建物の一部が落ちてくる危険性などを調べるものです。そして、その結果をもとに、完全に修復が終わるまでの間、その建物を使う際にどのくらい危険なのかを知らせることで、地震後の事故を防ぐことを目的としています。
地震による建物の危険性
大きな地震が発生すると、建物は激しい揺れに見舞われ、様々な被害を受けます。目に見える被害としては、外壁に亀裂が入ったり、窓ガラスが割れたりといったものがあります。しかし、地震による建物の被害は、目に見えるものだけにとどまりません。建物を支える柱や梁など、構造体そのものがダメージを受けている場合も少なくありません。
このような損傷を受けた建物は、非常に危険な状態にあります。わずかな揺れでも、建物全体が崩壊してしまう可能性があるからです。そして、倒壊によって中にいる人が巻き込まれてしまうかもしれません。また、その後も続く余震や、雨や風などの影響を受けて、徐々に損傷が拡大し、最終的に倒壊する危険性も高いです。
さらに、損傷した建物は、周囲にも危険を及ぼす可能性があります。例えば、外壁の一部が剥がれ落ちて、通行人に当たってしまうかもしれません。また、屋根瓦が落下し、駐車中の車に損害を与えることも考えられます。
このように、地震によって損傷を受けた建物は、放置しておくと大変危険です。安全のためにも、専門家による点検を依頼し、適切な対策を講じることが重要になります。
地震による建物の被害 | 危険性 | 具体例 |
---|---|---|
目に見える被害 | 損傷が拡大し、倒壊する危険性 | 外壁の亀裂、窓ガラスの破損 |
目に見えない被害 | わずかな揺れで建物全体が崩壊する可能性 | 柱や梁などの構造体の損傷 |
周囲への危険 | 損傷部分が落下し、人や物に被害を与える可能性 | 外壁の落下、屋根瓦の落下 |
応急危険度判定の役割
大きな地震などの災害が起こると、建物が損傷を受け、倒壊の危険性が出てくることがあります。更に、損傷を受けた建物に無理に立ち入ることによって、家具の転倒や落下、あるいは外壁の崩落などに巻き込まれ、怪我をしてしまうこともあります。このような災害発生後の被害を二次災害と呼びます。
二次災害を防ぐために重要な役割を担うのが、「応急危険度判定」です。これは、建築に関する専門知識を持った「応急危険度判定士」が、被災した建物を調査し、その安全性を評価するプロセスを指します。具体的には、建物の構造や損傷状況を詳しく調べます。そして、余震などによる倒壊の危険性や、外壁や内装材などの落下・転倒の危険性など、様々な危険性を判定します。応急危険度判定の結果は、危険度に応じて、使用可能な状態である「調査済」、使用制限を行う「要注意」、危険で立ち入りを禁止する「危険」の3つのラベルで表示されます。そして、その判定結果に基づいて、被災した建物が居住や使用に適しているかどうかを判断します。
このように、応急危険度判定は、被災者の安全を確保し、二次災害を防止するために非常に重要な役割を果たしています。
判定結果と安全確保
地震などの災害後には、建物が安全かどうかを判断する「応急危険度判定」が行われます。判定結果は、一般的に「調査済み」「使用可能」「要注意」「危険」「調査不能」の5段階で表示されます。
居住者は、この判定結果を参考に、自宅の安全性を確認し、適切な行動をとる必要があります。「使用可能」と判定された建物は、基本的に安全だと判断されていますが、損傷が全くないわけではありません。目視では確認できないような細かい損傷がある場合もあるため、専門家に相談し、必要な補修を行うようにしましょう。
「要注意」と判定された場合は、一部に損傷が見られ、使用に注意が必要な状態です。専門家の指示に従い、使用制限の範囲や必要な補強などの対策を行いましょう。
「危険」と判定された建物は、大きな損傷があり、倒壊の危険性が高いため、立ち入りが禁止されます。速やかに解体するか、大規模な補強工事が必要となります。
応急危険度判定は、あくまでも建物の外観などを目視で確認し、緊急的に行われるものです。そのため、判定結果にかかわらず、不安を感じたら専門家に相談し、建物の安全性を確認することが大切です。
判定結果 | 建物の状態 | 居住者の行動 |
---|---|---|
調査済み | 調査が行われたが、使用可能、要注意、危険のいずれにも該当しない。 | 専門家による詳細な調査を検討する。 |
使用可能 | 基本的に安全と判断されるが、損傷が全くないわけではない。 | 専門家に相談し、必要な補修を行う。 |
要注意 | 一部に損傷が見られ、使用に注意が必要。 | 専門家の指示に従い、使用制限の範囲や必要な補強などの対策を行う。 |
危険 | 大きな損傷があり、倒壊の危険性が高いため、立ち入り禁止。 | 速やかに解体するか、大規模な補強工事を行う。 |
調査不能 | 建物に近づけず、判定ができない状態。 | 専門家による調査が可能になり次第、速やかに調査を行う。 |
住民のための情報提供
災害発生後、私たちの家が安全かどうか、そしてこれからどこへ行けばいいのか、不安に思うのは当然のことです。そのためにも、被害状況を迅速に把握し、住民の皆さんに必要な情報を届けることが非常に重要になります。
まず、建物の被害状況を示す「応急危険度判定」の結果は、できるだけ早く皆さんにお伝えします。判定結果は、建物を見て分かりやすい場所に表示します。また、市町村のホームページなどでも公開しますので、ご自身で確認することも可能です。
判定結果に基づき、自宅が安全かどうか、安全を確保するためにどのような対策が必要かなどの情報を提供します。さらに、避難所の場所や開設状況、生活再建に向けた支援など、具体的な支援策についても丁寧にお知らせします。
これらの情報は、皆さんの安全を守るための大切なものです。ぜひ積極的に情報を入手し、落ち着いて行動してください。行政も、住民一人ひとりの安全確保に全力を尽くします。
まとめ:安全な生活再建のために
大地震に見舞われた後、安全な生活を取り戻すためには、まず住まいの安全確保が最優先です。そのために重要な役割を担うのが「応急危険度判定」です。これは、地震によって家屋が倒壊する危険性がないか、住み続けられる状態かどうかを判定するものです。
大地震発生直後は、余震の発生や建物の損傷による二次災害の危険性が高まります。二次災害から身を守るため、そして一日も早く安心して暮らせるようにするために、応急危険度判定は欠かせません。判定は、専門の知識を持った建築士などが目視で行います。判定の結果は、「調査済」と書かれたステッカーを住宅に貼ることで表示され、周囲にも安全性を知らせることができます。
判定の結果によって、自宅が安全な状態であると判断されれば、そのまま住み続けることができます。しかし、危険な状態であると判定された場合は、自宅からの立ち退きが必要になります。避難先は、各自治体が設置する避難所を利用することになります。
地震はいつ起こるか分かりません。日頃から家具の固定や避難経路の確認など、地震への備えをしっかりとしておくことが大切です。そして、地震発生後には、必ず自宅の応急危険度判定を受けるようにしましょう。