犯罪認知件数の推移と現状
防災防犯を教えて
先生、「認知件数」って、何ですか?ニュースでよく聞くんですけど、よくわからないんです。
防災防犯の研究家
「認知件数」は、簡単に言うと、警察が犯罪だと知った件数のことを指します。例えば、誰かが「財布を盗まれました」と警察に届け出たとします。すると、警察はそれを犯罪として認識し、「認知件数」が1件増える、というわけです。
防災防犯を教えて
なるほど。でも、ニュースでは「認知件数が減った」とか言ってるけど、犯罪が減ってるって、本当ですか?
防災防犯の研究家
良い質問ですね。実は、「認知件数」が減ったからといって、必ずしも犯罪が減ったとは言い切れない場合もあるんです。例えば、被害に遭っても、警察に届け出ない人もいますよね?そうすると、警察は事件として認識しないので、「認知件数」には反映されないわけです。
認知件数とは。
「身の安全を守るための言葉に『認知件数』というものがあります。これは、犯罪が起こった時、被害にあった人が警察などに届け出たり、訴えたりすることで、警察などが事件だとわかったものの数を指します。罪を犯した人を罰する法律である刑法に当てはまる犯罪の認知件数は、1996年以降、毎年戦後最も多くなり、2002年には369万3,928件を記録しました。その後は減少し、2008年は253万3,351件となっています。しかし、この認知件数は、戦後全体で見ると、依然として高い水準にあります。刑法に当てはまる犯罪の認知件数が減った要因として、毎年約6割を占めていた『こっそりと人のものを盗む犯罪』が減っていることが挙げられます。こっそりと人のものを盗む犯罪を除いた、刑法に当てはまる犯罪の認知件数は、2004年までは増え続けていましたが、2005年以降は4年連続で減っています。
犯罪認知件数とは
– 犯罪認知件数とは
犯罪認知件数とは、警察が犯罪の発生を把握した事件の数を指します。事件が発生した事実を警察が把握することを「認知」といい、この認知された事件の数を集計したものが犯罪認知件数です。
犯罪が認知される主なきっかけは、被害者からの届け出です。盗難や詐欺などの被害に遭った場合、警察へ被害状況を届け出ることで事件として記録されます。また、被害者以外の第三者からの通報や目撃情報によって事件が認知されるケースもあります。
犯罪認知件数は、社会の治安状況を把握するための重要な指標となります。認知件数の推移を分析することで、犯罪の発生傾向や地域的な偏りなどを把握することができます。この情報は、警察が効果的な犯罪対策を立案し、安全な社会を実現するために欠かせないものです。
しかし、犯罪認知件数は、実際に発生した全ての犯罪を反映しているわけではありません。被害者が警察へ届け出なかったり、事件として認識されなかったりするケースもあるため、犯罪認知件数はあくまで氷山の一角に過ぎないと言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
犯罪認知件数とは | 警察が犯罪の発生を把握した事件の数 |
認知のきっかけ |
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重要性 | 社会の治安状況を把握するための重要な指標 |
注意点 |
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ピーク時と減少傾向
日本の犯罪発生件数を時系列で見ると、1996年を境に増加に転じ、2002年には過去最多となる369万件を超える件数を記録しました。これは、1990年代初頭の好景気とその後の反動による景気後退の影響を受けたと考えられています。
好景気の間は、国民全体の所得水準が向上し、生活は豊かになりました。しかし、その裏では、一部の人々は経済的な困難に直面し、犯罪に手を染めるケースが増加したとされています。
2002年以降は、犯罪発生件数は減少傾向に転じ、2008年には253万件まで減少しました。これは、防犯カメラの設置や地域パトロールの強化など、防犯対策が進展したことや、景気回復に伴い経済状況が安定したことが要因として挙げられます。
犯罪発生件数は、社会情勢や経済状況、そして人々の意識によって大きく変動します。犯罪を減らすためには、社会全体で防犯意識を高め、安全な暮らしを築くための努力を継続していくことが重要です。
期間 | 犯罪発生件数の傾向 | 要因 |
---|---|---|
~1996年 | 減少傾向 | – |
1996年~2002年 | 増加傾向 2002年に過去最多の369万件 |
・1990年代初頭の好景気とその後の反動による景気後退の影響 ・好景気後の経済的な困難による犯罪の増加 |
2002年~2008年 | 減少傾向 2008年には253万件まで減少 |
・防犯カメラの設置や地域パトロールの強化などの防犯対策の進展 ・景気回復に伴い経済状況が安定 |
2008年~ | – | – |
窃盗犯の減少要因
近年、犯罪統計において喜ばしい変化が見られます。それは、窃盗事件の発生件数が減少傾向にあるということです。窃盗は、日本で発生する犯罪全体のおよそ6割を占める、身近な犯罪です。一昔前までは、鍵のかけ忘れによる被害や、窓ガラスを割られるといった侵入窃盗が後を絶ちませんでした。
しかし、近年では、人々の防犯意識の高まりが、窃盗事件減少の大きな要因の一つと考えられています。地域住民による防犯パトロールの活性化や、防犯に関する情報交換会の実施など、地域ぐるみで犯罪を抑止しようという動きが広まっています。また、防犯カメラやセンサーライトの設置など、住宅の防犯対策を強化する動きも進んでいます。さらに、スマートフォンで外出先からでも家の様子を確認できるシステムなど、最新の技術を活用した防犯対策も普及しつつあります。
このように、防犯意識の高まりと防犯設備の普及が相まって、窃盗犯にとって犯行を成功させることが難しくなっていると考えられています。もちろん、これらの対策を講じても、窃盗事件がなくなるわけではありません。
警察や地域住民によるさらなる取り組みが必要不可欠です。
要因 | 具体的な内容 | 効果 |
---|---|---|
人々の防犯意識の高まり | – 地域住民による防犯パトロールの活性化 – 防犯に関する情報交換会の実施 |
地域ぐるみで犯罪を抑止 |
防犯設備の普及 | – 防犯カメラやセンサーライトの設置 – スマートフォンで外出先から家の様子を確認できるシステムの普及 |
窃盗犯にとって犯行を成功させることが困難に |
窃盗以外の犯罪動向
一方、窃盗以外の一般刑法犯を見てみると、2004年までは増加傾向にありました。これは、殺人や強盗などの凶悪犯罪や、オレオレ詐欺やフィッシング詐欺などの特殊詐欺が増加したことが原因です。しかし、2005年以降は減少傾向に転じています。これは、凶悪犯罪や特殊詐欺などに対する警察による取り締まりの強化や、地域住民による防犯活動の活性化、そして、防犯意識の向上などが功を奏した結果だと考えられています。具体的には、地域住民による自主的な防犯パトロールの増加や、防犯カメラの設置、防犯ブザーの携行など、様々な取り組みが行われています。また、警察は、犯罪発生時の迅速な情報提供や、地域住民への防犯教室の開催などを通して、地域住民と協力した犯罪対策を推進しています。このように、関係機関と地域住民の努力によって、窃盗以外の一般刑法犯は減少傾向にあると言えるでしょう。
期間 | 傾向 | 要因 |
---|---|---|
~2004年 | 増加傾向 | 殺人、強盗などの凶悪犯罪や、オレオレ詐欺、フィッシング詐欺などの特殊詐欺の増加 |
2005年~ | 減少傾向 |
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高い水準と今後の課題
近年、犯罪を把握した数の推移を見ると、減少傾向にあることは確かです。しかしながら、戦後の長い歴史の中で見てみると、依然として高い水準にあるという現状は否定できません。治安を維持し、国民が安心して暮らせる社会を実現するためには、犯罪がどのように発生しているのか、その実態を分析し、的確で効果的な対策を講じていくことが不可欠です。特に、凶悪犯罪のように人々の生命や身体に重大な危害を加える犯罪や、インターネットやコンピューターを利用したサイバー犯罪など、複雑化・巧妙化する犯罪に対しては、より高度な知識や技術を駆使した対策が求められます。また、犯罪の発生を未然に防ぐためには、地域社会全体で防犯意識を高め、犯罪が起こりにくい環境を作っていくことが重要です。例えば、地域住民によるパトロール活動や、防犯カメラの設置、子供たちへの防犯教育など、さまざまな取り組みを進めていく必要があります。