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緊急事態!縦隔偏位とその影響

私たちの胸の中央には、肋骨、胸骨、そして背骨の一部である胸椎によって守られた空間である胸郭が存在します。この胸郭の中には、生命維持に欠かせない心臓や肺などの重要な臓器が収められています。心臓と肺に挟まれた、胸郭の中央部分を縦隔と呼びます。縦隔には、心臓と肺以外にも、大動脈や肺動脈といった太い血管、気管や気管支といった空気の通り道、食道、リンパ節など、多くの重要な器官が存在しています。通常、左右の肺はほぼ同じ大きさで、縦隔を挟んで左右対称に位置しています。このバランスによって、縦隔は胸郭の中央に安定して存在することができます。しかし、肺や胸膜(肺を包む膜)に病気があると、このバランスが崩れ、縦隔が本来の位置からずれてしまうことがあります。この状態を縦隔偏位と呼びます。縦隔偏位を引き起こす病気には、気胸(肺に穴が開いて空気が漏れる病気)、胸水(胸の中に水が溜まる病気)、肺炎、肺がん、 pneumothorax などがあります。縦隔が大きく偏位すると、心臓や大血管、気管などが圧迫され、呼吸困難や血圧低下などの症状が現れることがあります。縦隔偏位は、胸部レントゲン写真やCT検査で確認することができます。
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緊急時に役立つ!? ジェット換気とは

- ジェット換気の仕組みジェット換気は、自力で呼吸が難しい人を補助する人工呼吸法の一つで、ジェット流と呼ばれる、勢いのある空気の流れを用いた換気方法です。この方法では、一般的な人工呼吸とは違い、短時間に高圧の空気を気道に送り込むことで、迅速かつ効果的に肺に空気を取り込みます。ジェット換気では、まず気管に挿入した細い管を通して、高速のジェット気流を肺に送り込みます。この時、高速の空気の流れが周囲の空気を巻き込む「エントレインメント」と呼ばれる現象が起こり、肺の中に十分な量の空気が取り込まれます。その後、圧力が弱まるタイミングで自然に息が吐き出される仕組みになっています。従来の人工呼吸に比べて、ジェット換気は短時間での換気が可能なため、緊急性の高い状況や、胸部に損傷がある場合などにも用いられます。また、気管切開などの処置を行わずに、口や鼻から管を挿入するだけで行えるという利点もあります。しかし、ジェット換気は高度な技術を必要とするため、適切な知識と経験を持った医療従事者によって行われることが重要です。
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命を脅かす緊急事態:心タンポナーデ

私たちの心臓は、「心膜」と呼ばれる袋のような組織に包まれて守られています。普段は、心膜と心臓の間には少量の液体(心嚢液)があり、心臓がスムーズに動くようにサポートしています。しかし、病気や怪我など、何らかの原因でこの心嚢に血液や体液が過剰に溜まってしまうことがあります。すると、心臓は圧迫されてしまい、正常に拍動することができなくなります。これが「心タンポナーデ」と呼ばれる危険な状態です。心タンポナーデは、心臓を圧迫することで血液を全身に送り出すポンプとしての機能を低下させます。その結果、息切れやめまい、意識障害などの症状が現れ、最悪の場合、死に至ることもあります。心タンポナーデは、迅速な対応が必要となる緊急事態です。症状が現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。治療では、過剰に溜まった心嚢液を針で穿刺して排出する「心嚢穿刺術」などが行われます。心タンポナーデは命に関わる病気ですが、早期発見・早期治療によって救命できる可能性があります。
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緊急事態!心嚢気腫とは?

- 心臓を圧迫する危険な状態、心嚢気腫とは?心臓は、私たちの体全体に血液を送るために休むことなく動き続けている重要な臓器です。この大切な心臓は、「心嚢」と呼ばれる薄い袋状の組織に包まれています。通常、この心嚢の中には少量の液体があり、心臓がスムーズに動くための潤滑油の役割を果たしています。しかし、何らかの原因でこの心嚢の中に空気が入り込んでしまうことがあります。これが「心嚢気腫」と呼ばれる状態です。心嚢気腫になると、心臓を取り巻く空間の圧力が異常に高まります。この圧力は、まるで心臓を風船のように外側から締め付けるように作用し、心臓の動きを阻害してしまいます。その結果、心臓は十分な量の血液を送り出すことができなくなり、息切れや胸の痛み、意識障害などの深刻な症状が現れることがあります。心嚢気腫を引き起こす原因は様々です。例えば、肺に穴が開いてしまう気胸や、胸部に強い衝撃を受ける外傷、心臓自身に穴が開いてしまう心破裂などが挙げられます。また、細菌やウイルスによる感染症が原因となる場合もあります。心嚢気腫は命に関わる危険性もあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。もしも、息苦しさや胸の痛み、脈の乱れなど、普段と異なる症状を感じたら、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。早期発見と適切な治療によって、心臓への負担を軽減し、健康な状態を取り戻せる可能性が高まります。
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エックス線の基礎知識:防災と防犯への応用

- エックス線とはエックス線は、太陽光や照明の光と同じく電磁波の一種です。しかし、私たちの目で捉えることのできる光と比べて、波長が非常に短いという特徴を持っています。この波長の短さこそが、エックス線を特別な存在にしているのです。19世紀末、ドイツの物理学者レントゲンは、真空管を使った実験中に、目に見えない新しい光を発見しました。当時はその正体が解明されていなかったため、未知を表す「X」の文字を用いて「エックス線」と名付けられました。エックス線の最大の特徴は、物質を透過する能力が高いことです。これは、波長が短いほど物質を構成する原子間の隙間を通り抜けやすくなるためです。この性質を利用すると、私たちの体はもとより、鞄の中身や、建物内部まで透視することができます。現在では、医療現場における画像診断でお馴染みです。骨などの硬い組織はエックス線をあまり通さないため、レントゲン写真に白く映し出されます。一方、筋肉などの軟組織はエックス線を比較的通すため、黒っぽく映ります。この濃淡の違いを利用して、骨折や腫瘍などの診断に役立てられています。また、エックス線は医療分野以外にも、空港の手荷物検査や、工場における製品の非破壊検査など、幅広い分野で活用されています。私たちの生活の安全と安心を支える、なくてはならない技術と言えるでしょう。
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持続動注療法:新しい治療の選択肢

- 持続動注療法とは持続動注療法とは、患部に直接、継続的に薬を送り込む治療法です。従来の治療では、薬は口から服用したり、血管に注射したりする方法が一般的でした。しかし、これらの方法では、薬が全身に広がってしまい、目的とする患部以外にも作用してしまうことがあります。一方、持続動注療法では、カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に留置し、その先端を治療が必要な血管の近くに配置します。そして、持続注入ポンプを用いて、カテーテルを通じて薬を低濃度で継続的に患部に直接送り込みます。この方法により、必要な部位に集中的に薬剤を届けることができるため、効果を高めつつ、副作用を抑える効果が期待できます。また、全身への影響が少なくなるという利点もあります。持続動注療法は、がん治療をはじめ、様々な疾患の治療に用いられています。
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身近に潜む失神とその対処法

- 失神とは何か失神とは、一時的に意識を失ってしまい、それに伴い身体が支えられずに倒れてしまうことを指します。まるで電気が消えたように、突然意識がなくなってしまうため、周囲の人にとっては驚き、大変な事態に思えるかもしれません。失神は、脳への血液供給が一時的に減少することが主な原因です。 脳は、私たちの身体の司令塔として、常にたくさんの酸素と栄養を必要としています。しかし、様々な理由で脳への血流が滞ってしまうと、脳は正常に機能することができなくなり、意識を失ってしまうのです。多くは短時間で自然に回復します。多くの場合、数秒から数分で意識は回復し、その後は普段通りの生活に戻ることができます。ただし、失神する直前にめまいやふらつきを感じることがあります。大切なことは、失神の原因を正しく理解し、適切な対処法を知っておくことです。 そうすることで、もしもの時にも落ち着いて行動できるようになり、自分自身の安全はもちろんのこと、周囲の人たちにも適切な対応をすることができます。
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命を繋ぐAED:その役割と使用方法

- 街中で見かける機会が増えたAED近年、駅や公共施設など、街中の様々な場所で目にする機会が増えたAED。AEDは「自動体外式除細動器」の略称で、心臓がけいれんを起こして血液を送り出すポンプ機能が停止した状態(心室細動)になった際に、電気ショックを与えて心臓の働きを正常に戻すための医療機器です。AEDは、医療従事者でなくても使用できるよう、音声ガイダンスやイラストなどで操作方法が分かりやすく表示されています。また、電気ショックが必要な場合にのみ作動する安全設計となっているため、誰でも安心して使用することができます。心臓が突然停止した場合、数分以内に適切な処置を行わないと、命を落とす危険性が高まります。AEDは、その場で居合わせた人が救命活動を行うための重要なツールであり、設置数が増加していることで、より多くの命が救える可能性が高まっています。AEDは、街中で見かけた際に、使用方法を具体的にイメージできるよう、日頃から使用方法について理解を深めておくことが大切です。また、AEDの設置場所を把握しておくことも重要です。
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見えない脅威:縦隔気腫とその対処法

- 胸部に空気が? 縦隔気腫とは縦隔気腫とは、呼吸によって肺に吸い込まれた空気が、本来あるべきでない胸腔内の縦隔という場所に漏れ出てしまう病気です。縦隔は、心臓や大動脈、大静脈といった太い血管、気管や食道など、生命維持に欠かせない重要な臓器が集まっている場所です。ここに空気が入り込むことで、様々な症状が現れることがあります。縦隔気腫は、胸のレントゲン写真やCT検査で偶然見つかることが多くあります。自覚症状がない場合も多いのですが、症状としては、胸の痛み、呼吸困難、声がれ、首や顔の腫れなどがみられることがあります。原因としては、肺の病気、例えば気管支喘息の悪化や肺炎、肺気腫などが挙げられます。また、激しい咳や嘔吐、重い物を持ち上げる動作など、急激な胸腔内圧の上昇がきっかけとなる場合もあります。交通事故などによる胸部への強い衝撃や医療行為中の合併症によって起こることもあります。多くの場合、縦隔気腫自体は命に関わる病気ではありません。安静にしていれば自然に治ることがほとんどです。しかし、原因や症状によっては、酸素吸入や胸腔ドレナージなどの治療が必要になることもあります。また、まれに、心臓や肺、食道などの臓器が圧迫されて、重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
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脊髄損傷:その原因と対策

- 脊髄損傷とは私たちの体の中心を走る背骨、その中にある神経の束である脊髄は、脳からの指令を全身に伝え、また、全身からの感覚を脳に伝えるという重要な役割を担っています。この脊髄が、外部からの強い衝撃によって傷つくことで、様々な機能に障害が生じる病気を脊髄損傷と呼びます。脊髄損傷を引き起こす原因として最も多いのは交通事故です。自動車やバイクの衝突事故など、体に強い衝撃が加わることで脊髄が損傷を受けます。また、高所からの転落や落下物による事故、スポーツ中の事故なども脊髄損傷の原因となりえます。 脊髄が損傷すると、その程度や部位によって、手足の麻痺、感覚の麻痺、排泄障害、体温調節機能の障害など、様々な症状が現れます。 重度の場合は、生涯にわたっての後遺症が残る可能性もあり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。脊髄損傷は、決して他人事ではありません。交通事故や転倒など、日常生活における危険を認識し、予防に努めることが大切です。また、スポーツを行う際には、事前に準備運動をしっかり行い、安全な環境で行うように心がけましょう。
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災害医療のジレンマ:オーバートリアージとは?

- 災害医療におけるトリアージ大規模な地震や広範囲に被害をもたらすような事故が発生すると、負傷者の数が病院や診療所の対応能力をはるかに超えてしまうことがあります。このような、医療現場が極度の緊張状態におかれる状況において、限られた医療スタッフや医薬品、資材を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うためには、的確な状況判断と迅速な行動が求められます。この、極めて重要かつ困難な役割を担うのがトリアージです。トリアージとは、刻一刻と変化する状況の中で、負傷者の容態の緊急度に応じて治療の優先順位を決定するプロセスを指します。トリアージは、ただ単に負傷の程度だけで判断するのではなく、現場の状況、負傷者の数、そして利用可能な医療資源などを総合的に考慮しながら、冷静かつ的確に判断を下していく必要があり、非常に高度な知識と技術、そして冷静さを求められます。 そのため、トリアージは、災害医療において非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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命に関わる臓器の緊急事態:穿孔とは?

私たちの体内には、食べ物を消化したり、血液を循環させたりするために、管状の臓器が数多く存在します。口から肛門までは消化管と呼ばれ、栄養を吸収する大切な役割を担っています。また、心臓から全身へ、そして全身から心臓へと血液を送り届ける血管も、同じく管状の臓器です。これらの臓器は、私たちの生命維持に欠かせないものです。しかし、このような体内の管に、病気や怪我など様々な原因で穴が開いてしまうことがあります。これが「穿孔」と呼ばれる状態です。穿孔が起こると、本来、管の中にあるべきものが漏れ出てしまい、周囲の組織に炎症を引き起こしたり、臓器の機能を低下させたりすることがあります。例えば、胃や腸に穿孔が起こると、消化液や内容物が腹腔内に漏れ出し、激しい腹痛や発熱を引き起こします。また、血管に穿孔が起こると、内出血を起こし、生命に関わる危険な状態となることもあります。穿孔は、早期発見・早期治療が非常に重要です。穿孔の症状は、その原因や発生部位によって様々ですが、激しい痛みや発熱、吐き気、嘔吐などが見られる場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
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緊急事態における循環亢進:敗血症ショックへの理解

- 循環動態の基礎私たちは、心臓が絶えず血液を送り出すことで、生きていくために必要な酸素や栄養を体の隅々まで届けています。この血液循環の仕組み全体を循環動態と呼び、私たちの生命維持に欠かせないものです。循環動態を理解する上で重要な指標となるのが、心臓が1分間にどれだけの血液を送り出すかを示す「心拍出量」と、血管の縮み具合を表す「末梢血管抵抗」です。心臓が力強く収縮すると、一度に多くの血液を送り出すことができます。このため、心拍出量は増加します。一方、血管が収縮すると血液が流れにくくなるため、末梢血管抵抗は高くなります。逆に、血管が広がると血液は流れやすくなるため、末梢血管抵抗は低くなります。このように、心拍出量と末梢血管抵抗は、お互いに影響し合いながら循環動態を調節しています。このバランスが崩れると、血圧が変動したり、臓器への血液供給が滞ったりするなど、様々な体の不調につながる可能性があります。
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命を守る緊急処置:焼痂切開の重要性

私たちの体を外部の刺激から守ってくれる皮膚は、熱によって様々な程度の損傷を受けます。その中でも、特に高温な物体に触れたり、炎に巻き込まれたりすることで生じる重度の熱傷は、皮膚に深刻な変化をもたらします。Ⅲ度熱傷や深達性Ⅱ度熱傷では、皮膚のすべての層が破壊され、まるで熱い湯で固まった卵の白身のように、白や茶褐色に変色し硬くなります。 この状態は『焼痂』と呼ばれ、皮膚本来の柔軟性や弾力性を完全に失っているため、体の動きを大きく制限してしまうことがあります。例えば、胸やお腹など体幹と呼ばれる部分に広範囲に焼痂が及ぶと、呼吸をする際に胸郭が膨らんだり縮んだりする動きが阻害され、十分な呼吸ができなくなることがあります。 呼吸は生命維持に不可欠な機能であるため、このような場合は直ちに医療機関での治療が必要となります。また、腕や足に広範囲にわたる焼痂が生じた場合、血液の流れが悪くなり、指先が青白くなるチアノーゼや、感覚が鈍くなる、痺れが出るといった症状が現れることがあります。 さらに、重症化すると筋肉が壊死し、手足を切断せざるを得ないケースも少なくありません。このように、熱傷は皮膚の損傷だけでなく、体の機能や生命にも重大な影響を及ぼす可能性があることを理解しておく必要があります。
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食道閉鎖式エアウェイ:その仕組みと注意点

- 食道閉鎖式エアウェイとは食道閉鎖式エアウェイは、呼吸が困難な患者に対して、気管挿管を行うまでの間、一時的に酸素を供給するための器具です。気管挿管は、口から気管までチューブを挿入して気道を確保する処置ですが、状況によっては困難な場合があります。そのような場合に、この食道閉鎖式エアウェイが重要な役割を果たします。この器具は、先端に膨らませることができる風船(バルーン)が付いたチューブでできています。このチューブを食道に挿入し、バルーンを膨らませることで、食道からの空気の漏れを防ぎます。食道は、食べ物を口から胃に送るための管ですが、気管とは別になっています。食道閉鎖式エアウェイの特徴は、気管ではなく食道に挿入するという点にあります。チューブ側面には穴が開いており、そこから空気を送り込むことで、肺に酸素を届けます。ただし、食道閉鎖式エアウェイはあくまでも一時的な酸素供給を目的とした器具です。気管挿管が完了するまでの間、あるいは他の呼吸補助手段が可能になるまでの間、患者の呼吸をサポートするために使用されます。
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運動中の思わぬ危険!コンパートメント症候群とは?

私たちの体は、無数の筋肉によって支えられています。特に腕や脚には多くの筋肉が集まっており、複雑な動きを可能にしています。これらの筋肉は、ただ闇雲に配置されているわけではありません。それぞれの筋肉のグループは、骨や筋膜といった組織によって包み込まれ、まるで部屋のように区切られています。この筋肉を包む部屋のような区画のことを「コンパートメント」と呼びます。コンパートメントは、筋肉を保護する役割を担っています。外部からの衝撃を吸収し、筋肉へのダメージを軽減するクッションのような役割を果たします。また、筋肉が働く際に、その力を効率的に伝える役割も担っています。それぞれのコンパートメントの中には、筋肉以外にも、血管や神経が通っています。血管は筋肉に栄養や酸素を供給し、神経は脳からの指令を筋肉に伝達することで、スムーズな動きを可能にしています。このように、コンパートメントは、私たちの体が正常に機能するために重要な役割を担っています。
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命を守る!知っておきたいショックの知識

- ショックとはショックとは、生命の維持に欠かせない血液循環が悪化し、身体の組織や臓器に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなる状態を指します。放置すると、臓器の機能不全に陥り、死に至ることもある危険な状態です。私たちの身体は、心臓のポンプ機能によって常に血液を循環させています。この血液は、酸素や栄養を全身の細胞に運び、同時に老廃物を回収するという重要な役割を担っています。 しかし、様々な原因で心臓の機能が低下したり、血管が拡張したり、血液量が減少したりすると、血液循環が悪化してしまいます。血液循環が悪くなると、身体は酸素不足に陥ります。初期症状としては、動悸や息切れ、冷や汗、顔面蒼白などが見られます。さらに悪化すると、意識がもうろうとしたり、脈拍が弱くなったり、尿量が減少したりします。 ショックの状態は一刻を争います。少しでも異常を感じたら、ためらわずに救急車を呼ぶことが大切です。
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胸腔ドレナージ後のリスク:再膨張性肺水腫

- 胸腔ドレナージとは私たちの肺は、「胸腔」と呼ばれる袋状の空間に包まれています。通常、この空間には少量の液体があるだけで、肺は自由に膨らんだり縮んだりして呼吸をしています。しかし、病気や怪我などによって胸腔内に空気が溜まったり(気胸)、通常よりも多くの液体が溜まったり(胸水)、血液が流れ込んでしまったり(血胸)することがあります。これらの異常事態が起こると、肺は圧迫されてしまい、十分に膨らむことができなくなります。その結果、息苦しさを感じたり、呼吸が速くなったり、場合によっては唇や指先が青紫色になるチアノーゼといった症状が現れることがあります。このような状態を改善するために、胸腔に溜まった空気や液体、血液を体外に排出する処置が必要になります。それが「胸腔ドレナージ」です。胸腔ドレナージでは、胸部に小さな穴を開け、そこからチューブを胸腔内に挿入します。そして、このチューブを専用の装置に接続することで、胸腔内の空気や液体、血液を体外に排出します。胸腔ドレナージは、呼吸困難を引き起こす様々な病気の治療に役立つ重要な処置です。
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除脳硬直:その特徴とメカニズム

- 定義-# 定義除脳硬直とは、脳幹の中でも中脳や橋と呼ばれる部分が損傷を受けることで、手足が突っ張ったように伸びてしまう状態を指します。脳幹は、生命維持に不可欠な機能を司る重要な部位です。特に中脳や橋は、意識や運動、呼吸などをコントロールする神経が集まっている場所です。これらの部位が損傷を受けると、脳から手足への運動指令がうまく伝わらなくなり、手足が不自然に伸びた状態になってしまいます。これが除脳硬直です。除脳硬直は、意識障害を伴う重篤な脳損傷の兆候であることが多く、交通事故や頭部外傷、脳卒中などで起こる可能性があります。除脳硬直が見られた場合は、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。迅速な診断と治療によって、後遺症のリスクを減らすことができる可能性があります。
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酸素飽和度:健康状態を測る指標

- 酸素飽和度とは私たちの身体は、呼吸によって空気中から酸素を取り込み、血液によって全身に届けます。この時、酸素を運ぶ役割を担っているのが、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質です。 酸素飽和度とは、このヘモグロビンがどれだけ酸素と結びついているかを表す数値で、パーセントで表されます。例えば、酸素飽和度が98%であれば、ヘモグロビンの98%が酸素と結びついていることを示しています。 健康な人の場合、酸素飽和度は96%以上あるのが一般的です。しかし、呼吸器疾患や心臓疾患など、様々な原因で体内に取り込める酸素の量が減ってしまうと、酸素飽和度は低下してしまいます。 酸素飽和度が低下すると、息切れや動悸、倦怠感などの症状が現れます。さらに重症化すると、意識障害や心停止に至る可能性もあるため、注意が必要です。 近年では、指先に挟むだけで簡単に酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターが普及しています。健康管理や病気の早期発見のために、活用してみてはいかがでしょうか。
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知っておきたい神経性ショック:原因と症状、治療法まで

- 神経性ショックとは神経性ショックは、背骨の上部、特に胸椎の上の方にある脊髄が損傷されることで起こる深刻な状態です。交通事故や高いところからの落下など、体に強い衝撃が加わると脊髄が傷つき、神経の働きが乱れてしまいます。この神経の乱れが体に大きな影響を与えます。通常、血管は心臓から送り出される血液の量や流れを調整して、血圧を一定に保っています。しかし、神経性ショックの場合、この血管の調整機能がうまく働かなくなり、血管が広がりすぎてしまいます。すると、血液が体の中心から末梢へと過剰に流れ込み、心臓に戻る血液量が減少し、血圧が急激に低下してしまうのです。出血を伴わないにもかかわらずショック状態となるため、医療従事者であっても、初期の診断が難しい場合があります。迅速な診断と適切な治療が救命に不可欠です。
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いざという時の酸素療法:基礎知識と方法

- 酸素療法とは酸素療法とは、呼吸がうまくできない状態にある人に対して、普段私たちが吸っている空気よりも多くの酸素を含んだ空気を送り届ける治療法です。私たちの体をつくる細胞は、生きていくために酸素を必要としています。呼吸をすることで肺から酸素を取り込み、血液によって全身に届けられることで、細胞は活動するためのエネルギーを作り出すことができます。しかし、肺の病気や心臓病などが原因で、十分な酸素を体に取り込むことができなくなることがあります。このような状態になると、息苦しさを感じたり、意識がぼんやりしたりするなど、様々な症状が現れます。酸素療法は、体に取り込まれる酸素の量を増やすことで、血液中の酸素濃度を高め、細胞や組織に十分な酸素を届けることを目的としています。酸素を鼻からチューブで送り込む方法や、マスクを使って口と鼻を覆うようにして酸素を送り込む方法など、症状や状態に合わせて様々な方法があります。酸素療法は、肺の病気、心臓病、一酸化炭素中毒など、様々な病気の治療に用いられています。また、手術後や怪我の治療などにも用いられることがあります。酸素療法によって、呼吸が楽になり、症状が改善されるだけでなく、命に関わる危険な状態を防ぐことができる場合もあります。
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腹部外傷の診断に役立つ診断的腹腔洗浄

- 診断的腹腔洗浄とは?診断的腹腔洗浄は、事故などで腹部を強く打ったり、腹部を刃物で刺されたりするなど、腹部外傷を受けた患者さんを診察する際に、緊急手術が必要かどうかを判断するための検査方法です。お腹の中に血液や胃や腸の内容物などが漏れていないかを調べます。この検査は、大きく分けて二つの方法があります。一つは、お腹を小さく切開してカテーテルと呼ばれる細い管を腹腔内に挿入する方法です。もう一つは、お腹に針を刺してカテーテルを挿入する方法です。どちらの方法でも、カテーテルを通して温めた生理食塩水を腹腔内に注入します。そして、しばらく時間を置いた後、その液体を回収します。回収した液体の色や性状を調べます。もし、回収した液体に血液や胃や腸の内容物が混ざっていた場合、肝臓や脾臓などの腹部臓器の損傷が疑われ、緊急手術が必要となる可能性が高くなります。診断的腹腔洗浄は、腹部外傷の患者さんにとって重要な検査の一つですが、近年では、CT検査など他の検査方法の発達により、診断的腹腔洗浄が行われる頻度は減少傾向にあります。
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持続的気道陽圧法:その役割と利点

- 持続的気道陽圧法とは持続的気道陽圧法(CPAP)は、呼吸に問題を抱える方を助けるための治療法です。睡眠中に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」の治療法として特に知られていますが、その他多くの呼吸器疾患にも効果があります。この治療法では、鼻に装着したマスクを通して、空気を送り込む機械を使用します。送風機は、常に一定の圧力で空気を送り込み続けることで、気道を広げ、呼吸を楽にする効果があります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、睡眠中にのどの奥にある気道が狭くなったり、塞がってしまったりすることで、呼吸が苦しくなります。CPAPはこの気道が狭くなる、あるいは閉塞してしまうことを防ぎ、スムーズな呼吸を助ける役割を果たします。CPAPは、患者さん一人ひとりの症状に合わせて、適切な圧力で空気を送り込むことが重要です。そのため、医師の診断のもと、適切な圧力を設定した専用の機械を使用するようにしてください。