感染症から守る

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医療現場を守る!標準感染予防策の基本

病院や診療所などの医療機関は、様々な病気を抱えた患者さんが多く集まる場所です。そのため、健康な人が日常生活を送るよりも、感染症にかかる危険性が高い場所といえます。このような医療現場では、患者さんだけでなく、医師や看護師など医療従事者自身も感染から守るために、徹底した感染予防対策を行う必要があります。医療現場で広く推奨されている感染予防対策に、「標準感染予防策」というものがあります。これは、アメリカの医療現場で生まれた考え方で、患者さんの持つ感染症の種類や感染経路が分からなくても、すべての患者さんとの接触において、血液、体液、分泌物、粘膜、傷のある皮膚などを介して感染する可能性があるものとして対策を行うというものです。具体的な対策としては、手洗い、マスクや手袋の着用、患者さんごとに使い捨ての医療器具を使用する、使用した医療器具は適切に消毒する、などが挙げられます。これらの対策を徹底することで、医療現場における感染症の拡大を効果的に防ぐことができます。標準感染予防策は、医療従事者だけでなく、病院を訪れる家族や面会者も理解し、協力することが重要です。病院側の指示に従い、適切な感染予防対策を行うように心がけましょう。
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蚊が媒介する脅威!ウエストナイル熱とは?

- ウエストナイル熱の概要ウエストナイル熱は、蚊を介して感染する病気です。主に鳥の間で流行しますが、蚊が人や馬を刺すことで感染が広がることがあります。感染すると、高熱が出たり、頭が痛くなったりするなど、風邪に似た症状が現れます。多くの場合、これらの症状は数日で治まります。しかし、高齢者の方や免疫力が低下している方などは、脳炎や髄膜炎といった重い神経系の病気を発症する危険性があり、注意が必要です。ウエストナイル熱は、感染した蚊に刺されることで感染します。蚊は、感染した鳥の血を吸うことでウイルスを獲得し、その後、別の人や動物を刺す際にウイルスを媒介します。そのため、ウエストナイル熱の予防には、蚊に刺されないようにすることが重要です。蚊は、水たまりや排水溝など、水が溜まっている場所に卵を産み付けて繁殖します。そのため、自宅周辺の水たまりをなくしたり、排水溝を定期的に掃除したりするなど、蚊の発生源を減らすように心がけましょう。また、外出する際は、長袖、長ズボンを着用し、肌の露出を少なくする、虫除けスプレーを使用するなど、蚊に刺されないように対策を取りましょう。ウエストナイル熱は、ワクチンや特効薬がないため、予防が何よりも重要です。蚊に刺されないように注意し、健康な状態を保つように心がけましょう。
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消毒のススメ:感染症から身を守る基礎知識

- 消毒とは何か?私たちは日常生活で、目に見えないたくさんの微生物に囲まれて生活しています。その中には、風邪やインフルエンザ、食中毒などを引き起こす、体に悪い影響を与える病原体も含まれています。消毒とは、身の回りの物や空間から、これらの病原体を除去したり、数を減らしたりして、私たちが病気にかかるリスクを減らすための作業です。病原体は、空気中に漂っていたり、ドアノブやテーブル、おもちゃなど、様々な物に付着しています。そして、これらの物に触れることで、私たちの手に病原体が付着し、その手で口や鼻、目を触ったり、食事をしたりすることで、病原体が体の中に入り込んでしまいます。消毒を行うことで、こうした病原体の付着を減らし、体内に侵入するのを防ぐ効果が期待できます。消毒には、アルコール消毒液を用いる方法や、熱湯を使って加熱殺菌する方法など、様々な方法があります。風邪やインフルエンザなどの感染症だけでなく、食中毒の予防にも消毒は有効です。特に、調理器具や食器などは、調理前や食事前にしっかりと消毒するようにしましょう。日頃からこまめな消毒を心がけ、健康的な生活を送りましょう。
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エボラ出血熱について

- エボラ出血熱とはエボラ出血熱は、エボラウイルスという病原体によって引き起こされる、重症化しやすい感染症です。このウイルスは、糸のように細長い形をしたフィロウイルスという種類に分類され、感染力が非常に強いことが知られています。日本の法律である感染症法では、最も危険な感染症の一つとして、一類感染症に指定されています。エボラウイルスに感染すると、高熱、激しい頭痛、筋肉痛、強い倦怠感といった症状が現れます。さらに病状が進むと、吐き気や嘔吐、下痢、皮膚からの出血などが起こり、最悪の場合、複数の臓器が機能不全に陥り、死に至ることもあります。エボラ出血熱が初めて確認されたのは、1976年のことです。アフリカのスーダンとコンゴ民主共和国で、ほぼ同時期に発生しました。その後も、アフリカ諸国を中心に、断続的に流行が報告されています。日本国内では、現在のところエボラ出血熱の発生は確認されていません。しかし、海外への渡航者や輸入感染症として、国内に侵入する可能性は否定できません。そのため、エボラ出血熱に関する正しい知識を持ち、予防対策を講じておくことが重要です。
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警戒すべき感染症:重症急性呼吸器症候群(SARS)

- 重症急性呼吸器症候群とは重症急性呼吸器症候群(SARS)は、2002年から2003年にかけて世界中で流行した、新しいタイプの呼吸器感染症です。原因は、SARSコロナウイルスという、当時まで人に感染することが知られていなかった新しいコロナウイルスでした。SARSは、感染した人の咳やくしゃみなどによって空気中に飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。主な症状としては、発熱、咳、息切れなどが挙げられます。多くの場合、これらの症状は風邪に似ていますが、重症化すると、肺炎を引き起こし、呼吸困難に陥ることもあります。SARSは、高い死亡率を示したことから、世界中に大きな衝撃を与え、新興感染症として世界的に注目を集めました。しかし、世界中の国々が協力して感染拡大防止対策に取り組んだ結果、2003年以降、新たな感染者は確認されていません。現在、SARSは終息したと考えられていますが、今後も、未知のウイルスによる新しい感染症が発生する可能性は否定できません。私たちは、日頃から手洗いやうがいを徹底するなど、感染症予防に努めるとともに、正確な情報に基づいて冷静に行動することが重要です。
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防災備蓄にも!不織布マスクのススメ

近年、新型インフルエンザの流行が懸念されていますが、私たち一人ひとりができる対策として、マスクの着用が挙げられます。中でも、厚生労働省の専門家会議が推奨しているのが不織布マスクです。専門家会議は、一人あたり20枚から25枚の不織布マスクの備蓄を推奨していますが、これはなぜでしょうか。不織布マスクは、その名の通り、繊維を織らずに作られたマスクです。熱や薬品などを用いて繊維をシート状に加工しており、ガーゼマスクに比べて目が詰んでいます。そのため、ウイルスを含む飛沫を通しにくいという特徴があります。また、不織布マスクは通気性にも優れており、息苦しさを感じにくいという利点もあります。長時間着用していても比較的快適に過ごせるため、日常生活でも使いやすいと言えるでしょう。新型インフルエンザの感染拡大を防ぐためには、一人ひとりの予防対策が重要です。咳エチケットや手洗いを徹底するとともに、不織布マスクを着用して、ウイルスから自身を守りましょう。
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コレラ:過去の病気?いいえ、今も脅威です

- コレラとはコレラ菌という微生物が原因で発症する、大変危険な感染症です。この病気にかかると、激しい下痢と嘔吐に見舞われます。その結果、体の中の水分と塩分が失われてしまい、脱水症状を引き起こします。特徴的な症状として、お米のとぎ汁のように白く濁った水のような便が出ることが挙げられます。コレラは、汚染された水や食べ物を介して感染します。衛生状態の悪い地域や、安全な水が手に入りにくい地域で流行しやすく、一度流行すると、人から人へと急速に感染が広がることがあります。症状が悪化すると、筋肉の痙攣や意識障害が現れ、命に関わる危険性も高まります。特に、乳幼児や高齢者、体力がない人は重症化しやすいため、注意が必要です。コレラを予防するには、トイレの後や食事の前には必ず石鹸で手を洗い、清潔を保つことが重要です。また、飲料水は必ず煮沸するか、安全な飲料水を飲むようにしましょう。感染が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
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インフルエンザ脳症:子どもの命を守るために

- インフルエンザ脳症とはインフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスが体に侵入することで発症する病気です。通常、インフルエンザといえば、高熱や咳、鼻水といった症状をイメージする方が多いでしょう。しかし、ごく稀に、インフルエンザウイルスが血液を通して脳にまで侵入してしまうことがあります。これが、インフルエンザ脳症です。脳に侵入したウイルスは、脳に炎症を引き起こします。すると、意識障害やけいれん、異常行動といった、神経に関する様々な症状が現れます。これは、脳が正常に機能しなくなるためです。インフルエンザ脳症は、5歳以下の小さなお子さんに多く見られます。これは、お子さんの体は免疫力が十分に発達しておらず、ウイルスに対する抵抗力が弱いことが原因の一つと考えられています。インフルエンザ脳症は、命に関わる病気です。また、たとえ一命を取り留めたとしても、後遺症が残ってしまう可能性もあります。そのため、日頃からインフルエンザの予防を心がけ、お子さんの様子に注意することが大切です。
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感染症から身を守るために

- 感染症とは私たちの身の回りには、肉眼では確認できないほど小さな生き物が無数に存在しています。これらは微生物と呼ばれ、普段は私たちの生活に影響を与えないものから、発酵食品などに利用され役立っているものまで、様々な種類が存在します。しかし、その中には私たちの体の中に入り込み、そこで数を増やすことで、健康を害するものもいます。このような、体に悪影響を及ぼす微生物には、ウイルスや細菌、カビなどの仲間である菌類、そして他の生き物の体内に住み着いて栄養を奪う寄生虫などが含まれます。これらの微生物が、空気や水、食べ物など様々な経路を通して私たちの体内に侵入し、増殖することを「感染」と呼びます。そして、この感染が原因で発熱や咳、下痢、湿疹など、体に何らかの症状が現れた状態を「感染症」と呼びます。感染症は、原因となる微生物の種類や感染した人の体力、免疫力などによって、軽い症状ですむものから、入院が必要となる重い症状を引き起こすものまで、その程度は様々です。また、感染症の中には、人から人へとうつるものもあり、周囲の人々へ感染を広げないための対策も重要となります。
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消毒の基本:感染症から身を守る知識

- 消毒とは何か消毒とは、私達の身の回りにある物や場所に存在する、病気の原因となる微生物を、薬を使って殺したり、その数を減らしたりすることを指します。この処置を行う目的は、感染症を予防することです。私達の身の回りには、目には見えませんが、風邪やインフルエンザ、食中毒を引き起こす様々な病原体が潜んでいます。これらの病原体は、空気中を漂ったり、物や人の手に付着したりして、私たちに感染します。消毒は、これらの目に見えない脅威から身を守るための、とても大切な手段と言えるでしょう。具体的には、多くの人が触れる場所を消毒することで、感染のリスクを効果的に減らすことができます。例えば、ドアノブやテーブル、トイレの便座、子どもが遊ぶおもちゃなど、毎日触れる機会の多い場所を消毒することで、これらの場所に付着した病原体が、別の人へ移動することを防ぐことができます。特に、インフルエンザが流行する時期や、食中毒が心配な時期には、こまめな消毒を心がけることが大切です。 また、消毒には、使用する薬剤によって、効果が期待できる病原体の種類が異なるという点にも注意が必要です。そのため、消毒を行う際には、どのような病原体に対して効果がある薬剤なのか、確認してから使用することが大切です。
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食中毒を予防しよう!~知っておきたい基礎知識~

- 食中毒とは食中毒は、汚染された食べ物や飲み物を口にすることで、健康被害を引き起こす病気です。その原因は様々ですが、主に食べ物の中で増殖した微生物や、微生物が作り出す有害物質、また、農薬などの化学物質が体内に入ることで発症します。食中毒の代表的な症状として、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などが挙げられます。これらの症状は、食後数時間から数日後に現れることが多く、その程度は原因となる物質や摂取量によって異なります。軽い症状であれば、安静にしていれば自然に回復することもありますが、重症化すると脱水症状や意識障害を引き起こし、場合によっては命に関わることもあります。特に、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は重症化しやすいため、注意が必要です。食中毒を予防するためには、食品の取り扱いには十分な注意が必要です。食材は新鮮なうちに、低温で保管し、調理する前にはしっかりと流水で洗浄することが大切です。また、加熱調理は十分に行い、食卓に並べるまでの時間もできる限り短くしましょう。さらに、調理器具は清潔に保ち、生ものと調理済みの食品を扱うまな板や包丁は分けて使用することで、二次汚染を防ぐことができます。
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食中毒を予防しよう!

- 食中毒とは食中毒は、食べ物に潜む目に見えない危険によって引き起こされる病気です。 具体的には、細菌やウイルス、寄生虫などが付着した食品や水を口にすることで、体の中に侵入し、様々な症状を引き起こします。代表的な症状としては、吐き気、下痢、腹痛など、消化器系に異変が現れることが多いです。 食中毒は、私たちの身近な場所、例えば家庭の食事や外食など、あらゆる場面で発生する可能性があります。 特に、気温の高い時期は、細菌が増殖しやすくなるため、注意が必要です。食中毒を予防するためには、食品の適切な保管、調理の際の加熱、手洗いの徹底など、日頃から衛生管理を心がけることが重要です。
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新型インフルエンザの脅威と対策

- 新型インフルエンザとは新型インフルエンザは、動物の間で流行しているインフルエンザウイルスが変異し、私たち人間にも感染するようになることで発生します。鳥インフルエンザなどがその代表例です。このウイルスは、人間の体にとって初めて出会うものですから、免疫を持っている人はほとんどおらず、感染が広がりやすいという特徴があります。2009年には、豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)が世界中で大流行を引き起こしました。この時は、多くの人が感染したものの、幸いなことに、このウイルスは毒性が弱く、重い症状を引き起こすことは稀でした。しかし、これはあくまで結果論であり、新型インフルエンザが常に軽症で済むとは限りません。中には、重症化しやすい性質を持つウイルスも存在する可能性があり、注意が必要です。新型インフルエンザの予防には、日頃から手洗いとうがいを徹底すること、そして、人混みを避けるなどの対策が有効です。また、流行時には、咳エチケットを心掛けることも大切です。万が一、感染が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。正しい知識と予防対策を身につけることで、私たちは新型インフルエンザの脅威から身を守ることができます。
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誤嚥性肺炎を予防しよう!

- 誤嚥性肺炎とは?誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、胃液、吐瀉物などが、本来通るべき食道ではなく、誤って気管や肺に入ってしまうことで発症する肺炎です。 通常、私たちは食べ物を口にすると、それが食道を通って胃に運ばれます。しかし、加齢や病気などによって飲み込む機能が低下すると、食べ物が誤って気管に入ってしまうことがあります。これが「誤嚥」です。特に注意が必要なのは胃液です。胃液には食べ物を消化するための強い酸が含まれており、少量でも肺に入ると激しい炎症を引き起こし、重症化する可能性があります。 就寝中に胃液が逆流して肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすケースを特に「メンデルソン症候群」と呼びます。手術を受ける際、全身麻酔の前に絶食が指示されるのは、この誤嚥性肺炎のリスクを減らすためです。麻酔の影響で胃の内容物が逆流しやすくなるため、胃の中に食べ物が残っていると誤嚥性肺炎を起こす可能性が高まります。そのため、手術前は絶食によって胃の中を空にしておく必要があるのです。
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命を脅かす出血熱、デング熱とは?

熱帯地域では、高温多湿な気候や衛生状態などから、様々な感染症が流行しやすくなっています。その中でも、特に注意が必要なのが出血性デング熱です。出血性デング熱は、デングウイルスに感染することで発症する病気で、主な症状として高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などが現れます。さらに、重症化すると出血やショック症状を引き起こし、命に関わることもあります。デングウイルスは、主にヒトスジシマカという蚊によって媒介されます。ヒトスジシマカは、公園の小さな水たまりや植木鉢の受け皿などにも発生しやすく、私たちの身近な場所に潜んでいます。そのため、熱帯・亜熱帯地域への旅行者はもちろんのこと、日本国内でも感染するリスクがあります。近年、地球温暖化の影響で、日本の平均気温は上昇傾向にあり、ヒトスジシマカの生息域も拡大しています。このため、今後、国内でのデング熱の発生が増加する可能性も懸念されています。熱帯地域への旅行や出張を計画している場合は、事前に現地の感染症情報を入手し、蚊に刺されないように対策を徹底することが大切です。また、帰国後も体調の変化に注意し、発熱や発疹などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
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目に見えない脅威:ウイルスの正体と対策

- ウイルスの特徴他の生物とは異なる存在ウイルスは、私たち人間を含めた様々な生物に感染し、病気の原因となることがあります。風邪やインフルエンザを引き起こすものもあれば、近年では新型コロナウイルス感染症のように世界中に大きな影響を与えるものもあります。しかし、目に見えないほど小さなウイルスは、一体どのような存在なのでしょうか?ウイルスは、動植物や細菌といった生物とは大きく異なる特徴を持っています。まず、ウイルスは非常に小さく、光学顕微鏡で観察することができません。電子顕微鏡などを用いることで、その形を詳しく見ることができます。次に、ウイルスの構造を見てみましょう。ウイルスは、遺伝情報であるDNAまたはRNAと、それを包むタンパク質の殻という非常にシンプルな構造でできています。私たち人間を含む多くの生物に見られるような、細胞小器官や細胞膜といった複雑な構造は持ち合わせていません。ウイルスは、自ら栄養を取り込んだり、エネルギーを作り出したり、増殖することができません。そのため、他の生物の細胞に侵入し、細胞が本来持っている機能を利用して自らの複製を作ります。この性質から、ウイルスは生物と非生物の境界線上に位置すると考えられています。ウイルスは、他の生物に寄生し、時に病気を引き起こす存在ですが、生物の進化にも関与していると考えられています。ウイルスは、宿主の細胞に自身の遺伝情報を組み込むことで、宿主の進化に影響を与えてきた可能性があります。このように、ウイルスは、生物界において複雑な役割を担っているのです。
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HIV感染症とAIDS:知っておきたい基礎知識

- 後天性免疫不全症候群とは後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって発症する深刻な病気です。HIVは、体内に侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体と戦う、免疫システムの中枢を担う細胞を攻撃するウイルスです。私たちの体には、外部から侵入してきた病原体から身を守る、免疫というシステムが備わっています。この免疫システムの中で、特に重要な役割を担っているのがリンパ球と呼ばれる細胞です。リンパ球には、様々な種類がありますが、その中でもHIVが主に攻撃するのがCD4陽性リンパ球と呼ばれるリンパ球です。HIVに感染すると、このCD4陽性リンパ球が破壊され、その数が減少していきます。CD4陽性リンパ球が減ってしまうと、免疫の働きが弱まり、通常であれば発症しないような弱い病原体にも感染しやすくなってしまいます。この状態を免疫不全と呼びます。AIDSは、HIV感染によって免疫不全が進行した状態であり、様々な病気にかかりやすくなるだけでなく、命に関わるような重篤な状態を引き起こす可能性もあります。
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目に見えない脅威:汚染から身を守る

私たちは日常生活の中で、「汚染」という言葉を、衣服に泥が付着したり、水が濁ったりする様子を表現する際に使います。確かに、これらの現象も「汚染」と呼ぶことができます。しかし、防災の観点から「汚染」について考える場合、目には見えない脅威にも注意を払う必要があります。具体的には、放射性物質、化学物質、細菌などが挙げられます。これらの物質は、微量であっても私たちの身体に付着することで、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。例えば、放射性物質は、細胞を傷つけ、がんや遺伝的な影響を引き起こす可能性があります。また、化学物質は、アレルギー反応や呼吸器疾患、臓器への悪影響など、様々な健康被害をもたらす可能性があります。さらに、細菌は、食中毒や感染症の原因となり、場合によっては命に関わることもあります。さらに恐ろしいことに、これらの物質は、空気中を漂ったり、水や土壌に溶け込んだりすることで、周囲に拡散していく可能性があります。そして、拡散した先でさらに多くの人々や環境に影響を及ぼし、被害を拡大させてしまう危険性も孕んでいます。そのため、防災の観点では、目に見える汚れだけでなく、目に見えない脅威である放射性物質、化学物質、細菌による汚染にも注意を払い、適切な予防対策と対処法を身につけておくことが重要になります。
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旅行者のための予防策:黄熱とは

黄熱は、主にアフリカや南アメリカの暖かい地域で流行する、ウイルスが原因となる感染症です。人から人へとうつることはなく、蚊がウイルスを媒介して感染します。感染すると、高熱が出たり、頭が痛くなったり、体がだるくなったりします。吐き気や嘔吐の症状が出ることもあります。多くの場合、これらの症状は数日で軽快します。しかし、症状が重くなることもあり、その場合は、皮膚や目が黄色くなる黄疸、腹痛、出血傾向などがみられます。重症化すると、肝臓や腎臓など、体の大切な器官が機能しなくなり、命に関わることもあります。かつては、黄熱は大変恐れられており、特に船で旅をする人にとって大きな脅威でした。現代では、ワクチンによって黄熱を予防することができるため、流行地域へ渡航する際には、事前にワクチン接種を受けることが重要です。また、蚊に刺されないように、長袖長ズボンを着用したり、虫よけ剤を使用したりするなど、対策をしっかり行いましょう。
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疾病調査:未来を守る健康の羅針盤

- 疾病調査とは何か疾病調査とは、特定の地域や集団において、病気の発生状況や流行状況を継続的に監視し、分析する活動のことです。これは、まるで海の航海における羅針盤のように、私たち人類を病気の脅威から守り、健康な未来へと導くための重要な役割を担っています。具体的には、感染症や生活習慣病など、様々な病気について、患者数や死亡数、発症場所や時期などの情報を収集し、その変化を捉えることで、流行の兆候や新たな健康問題の出現をいち早く察知することができます。例えば、ある地域で特定の感染症の患者数が急増した場合、疾病調査によってその原因を突き止め、感染拡大を防ぐための対策を迅速に講じることができます。また、長期間にわたる調査データの分析によって、生活習慣と病気の関係性を解明し、病気の予防や健康増進のための効果的な対策を立てることも可能です。このように、疾病調査は、私たちが健康で安心して暮らしていくために、必要不可欠な活動と言えるでしょう。
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知っておきたい薬剤耐性:交叉耐性とは?

私たちは、風邪を引いたり病気になったりした時、治療のために薬を飲むことがあります。薬は、私たちの体の中に侵入してきた細菌やウイルスと戦うために、とても大切な役割を担っています。しかし、同じ薬を長い間飲み続けると、だんだん薬の効果が薄くなってくることがあります。これは、体の中の細菌やウイルスが薬に慣れてしまい、抵抗力を持つようになるためです。このような状態を「耐性」と呼びます。耐性ができてしまうと、薬の効果を得るためには、以前よりも多くの量を飲まなければならなくなってしまいます。そのため、耐性には注意が必要です。例えば、風邪薬を自己判断で長期間飲み続けると、その薬に対する耐性ができてしまい、本当に必要な時に薬が効きにくくなってしまう可能性があります。薬を正しく使うためには、医師や薬剤師の指示に従い、決められた量と期間を守ることが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を変えたりすることは避けましょう。また、服用中に体に異変を感じたら、すぐに医師や薬剤師に相談することが大切です。
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抗菌薬と偽膜性大腸炎

- 偽膜性大腸炎とは偽膜性大腸炎は、抗生物質などの細菌を退治する薬の使用がきっかけで発症する腸の病気です。細菌感染症の治療に効果的な薬であっても、腸内に住む細菌のバランスを崩してしまうことがあります。その結果、特定の種類の細菌、特にクロストリジウム・ディフィシルという菌が増えてしまい、体に悪い影響を与える物質を作り出すことがあります。この物質が腸に炎症を引き起こし、大腸の粘膜に白い膜のようなものが付着します。これが、偽膜性大腸炎の名前の由来です。主な症状としては、下痢、腹痛、発熱などがあります。下痢は水のような状態であることが多く、重症化すると、1日に10回以上もトイレに行くことがあります。腹痛は、お腹全体に感じる鈍い痛みであることが多いですが、キリキリとした鋭い痛みを感じることもあります。発熱は、38度以上の高熱が出ることも少なくありません。偽膜性大腸炎は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合、完治する病気です。しかし、重症化すると、腸に穴が開いたり、敗血症などの重い合併症を引き起こしたりすることがあります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。
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劇症肝炎:沈黙の臓器の悲鳴

- 劇症肝炎とは劇症肝炎は、肝臓に急激な炎症が起こり、肝臓の働きが著しく低下する非常に危険な病気です。健康な肝臓は、私たちの体の中で、まるで工場のように様々な役割を担っています。体にとって有害な毒素を分解したり、健康を維持するための栄養を蓄えたり、食べ物の消化を助ける胆汁を作ったりと、生命維持に欠かせない働きを担っています。しかし、劇症肝炎によって肝臓が正常に機能しなくなると、これらの重要な働きが損なわれてしまいます。その結果、体に様々な影響が現れ、意識がもうろうしたり、出血しやすくなったり、深刻な症状が現れます。劇症肝炎は、ウイルス感染や薬の副作用など、様々な原因で発症する可能性があります。また、発症から短期間で病状が進行することが多く、早期発見と適切な治療が非常に重要になります。劇症肝炎は命に関わる病気ですが、早期に適切な治療を受けることで、回復できる可能性もあります。日頃から、肝臓に負担をかけない生活習慣を心掛け、定期的な健康診断を受けるなど、予防を意識することも大切です。
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災害時の健康を守る!疫学の役割とは?

- 疫学とは疫学は、人々の健康状態について、様々な側面から総合的に分析する学問です。病気の発生状況や原因を究明することで、病気の予防や健康の増進に役立てられています。例えば、ある地域で特定の病気が流行した場合、疫学者は調査を行います。どのような人々が、いつ、どこで、どのようにして発症したのかといった情報を収集し、分析します。年齢や性別などの属性、生活習慣、居住環境、職業など、様々な要因を考慮することで、病気の原因や流行のメカニズムを解明していきます。疫学は、病気の原因を特定するだけでなく、効果的な予防対策や治療法の開発にも貢献しています。過去の流行データや生活習慣と病気の関係性を分析することで、特定の病気のリスク因子を特定することができます。これらの情報は、病気の予防のための啓発活動や、早期発見・早期治療の重要性を啓蒙するなど、人々の健康を守るための活動に広く活用されています。さらに、疫学は新しい薬やワクチンの効果や安全性を検証するためにも役立てられています。新薬を投与したグループと、投与していないグループを比較することで、新薬の効果や副作用を客観的に評価することができます。このように、疫学は人々の健康を守る上で欠かせない学問と言えるでしょう。