感染症から守る

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脅威の食中毒:溶血性尿毒症症候群を知っていますか?

食中毒と聞くと、吐き気や下痢といった症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに、多くの場合、食中毒は比較的軽い症状で済むことが多いです。しかし、油断は禁物です。中には、命に関わるような重い合併症を引き起こす危険な食中毒も存在するのです。その一つが、今回ご紹介する「溶血性尿毒症症候群(HUS)」です。HUSは、腸管出血性大腸菌O157などの特定の細菌が作り出す毒素によって引き起こされます。この毒素は、体内に侵入すると、血液中の赤血球を破壊し、腎臓などの臓器に深刻なダメージを与えます。その結果、血便や血小板減少、腎機能障害といった深刻な症状が現れます。特に、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすく、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。HUSは決して他人事ではありません。私たちの身近なところに潜む危険な食中毒であることをしっかりと認識し、予防対策を徹底することが重要です。
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プリオン病とは?

- プリオンとはプリオンは、他の生物の遺伝物質に頼ることなく、自ら増殖し、病気を引き起こすことができる、特殊なタンパク質です。 通常、私たちは、はしかやおたふく風邪などの感染症は、ウイルスや細菌によって引き起こされると認識しています。 しかし、プリオンはこれらの病原体とは全く異なり、増殖に欠かせないDNAやRNAといった遺伝物質を持っていません。それにもかかわらず、プリオンはタンパク質だけで構成されながらも、他のタンパク質に影響を与え、自身と同じ構造へと変化させることで増殖していくという、驚くべき性質を持っています。プリオンは、私たちの体内に存在する正常なタンパク質が、ある特定の条件下で異常な立体構造に変化することで生じます。 この異常な構造を持つプリオンは、正常なタンパク質と接触すると、まるで型を取るかのように、自身の構造を複製し、異常なタンパク質へと変化させてしまいます。 この連鎖的な反応が続くことで、体内に異常なタンパク質が蓄積し、最終的には脳に損傷を与えるなどして、深刻な病気を引き起こすと考えられています。
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身近な脅威:アレルギーについて

- アレルギーとは私たちの体は、外から侵入してくるウイルスや細菌などの異物から身を守るために、『免疫』というシステムを持っています。通常、免疫は体にとって有害な異物だけに反応し、これらを攻撃して排除することで健康を守っています。しかし、本来であれば体に害のない無害な物質に対して、この免疫システムが過剰に反応してしまうことがあります。これが『アレルギー』と呼ばれる反応です。アレルギー反応を引き起こす原因となる物質は『アレルゲン』と呼ばれ、代表的なものとして、花粉、食べ物(卵、牛乳、小麦など)、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、薬などが挙げられます。アレルゲンは人によって異なり、同じものでも反応する人としない人がいます。また、アレルギー反応の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、皮膚の発疹やかゆみなど、比較的軽いものから、呼吸困難、意識障害など、重篤なものまでさまざまです。アレルギー反応は、アレルゲンを特定し、可能な限り接触を避けることが重要です。また、症状に応じて薬物療法が行われることもあります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
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過去の病気? 知っておきたいペストの脅威

- ペストとはペストは、ペスト菌という細菌によって引き起こされる感染症です。 かつては「黒死病」として世界中で猛威を振るい、多くの人々の命を奪いました。感染すると、高熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れ、皮膚が黒く変色することもあります。 中世ヨーロッパで流行した際には、人口の3分の1から3分の2が命を落としたとされており、人類の歴史に大きな傷跡を残しました。ペストは、ネズミなどの野生動物に寄生するノミを介して人に感染します。 感染したノミに刺されることで、ペスト菌が体内に入り込み、病気を発症します。 また、感染した動物の体液や、ペスト肺炎患者の咳やくしゃみによって空気感染することもあります。 かつては治療法がなく、多くの人が命を落としましたが、現代では抗生物質などの有効な治療法が確立されました。早期に治療を開始することで、治癒できる病気となっています。 ペストの予防には、ノミに刺されないようにすることが重要です。 野外活動では、長袖長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用するなど、肌の露出を控えるようにしましょう。 また、ペストの発生が確認されている地域への渡航は控え、やむを得ず渡航する場合は、現地の衛生当局の指示に従ってください。ペストは過去の病気ではありません。現在も世界各地で発生が報告されており、特にアフリカやアジアの一部の地域では流行が見られます。 ペストについて正しく理解し、予防と早期治療を心がけることが大切です。
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災害時の『養生』:それは命を守る防護壁

『養生』と聞くと、多くの人は日々の生活の中で病気にならないように、また健康を保つために、食事や睡眠、運動などに気を配ることだと考えるでしょう。確かに、普段の生活において『養生』は健康の維持増進に役立ちます。しかし、災害医療、特に人体に有害な物質による汚染を伴うNBC災害のような状況下では、『養生』は全く異なる意味を持つのです。NBC災害とは、核(Nuclear)、生物(Biological)、化学(Chemical)物質による災害の総称です。これらの災害では、放射性物質、危険な病原体、有毒ガスなど、人体に深刻な影響を与える物質が放出される可能性があります。このような状況下では、健康維持のためだけではなく、命を守るために『養生』が必要となるのです。具体的には、放射性物質から身を守るためには、屋外への外出を控え、屋内にとどまる、いわゆる「シェルターイン」が重要となります。また、空気中の有害物質を吸い込まないように、窓やドアを閉め、換気扇を止めるなどの対策も必要です。生物災害の場合、感染源との接触を避けるために、人混みを避け、手洗いやうがいを徹底することが重要になります。このように、災害時の『養生』は、普段私たちが健康のために実践していることとは異なる側面を持っていると言えるでしょう。
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パンデミックに備えるために

- パンデミックとは世界中で多くの人が感染症にかかってしまうことをパンデミックといいます。普段、私たちは冬になると流行するインフルエンザを経験しますが、パンデミックはこれとは全く異なるものです。インフルエンザなど、ある特定の地域や国の中だけで流行している状態をエピデミックといいますが、国境を越えて世界中に感染が拡大し、多くの人が病気にかかってしまう状態をパンデミックと呼びます。パンデミックは、私たちの生活や社会全体に大きな影響を及ぼします。例えば、学校が休校になったり、仕事に行けなくなったり、お店が閉まったりすることがあります。また、多くの人が病院に行くため、医療現場では十分な治療を受けられない可能性も出てきます。パンデミックを引き起こす原因は様々ですが、多くはウイルスによる感染症です。ウイルスは、人から人へ、あるいは動物から人へと感染が広がっていきます。このような感染症の拡大を防ぐためには、私たち一人ひとりの行動が重要になります。こまめな手洗いやうがい、咳エチケットなどを心がけ、感染予防に努めましょう。また、ワクチン接種も有効な予防策の一つです。
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気づかぬ脅威:不顕性感染と感染拡大

私たちは普段、風邪をひいたり、インフルエンザにかかったりすると、熱が出たり、咳が出たりといった症状に悩まされます。しかし、世の中には、体の中に病気の原因となるものが入り込んでいるにもかかわらず、まるで健康な時と同じように過ごせる場合があります。このような状態を「不顕性感染」と呼びます。一見すると、全く病気にかかっていないように見えるため、自分が感染していることに気づくことなく、普段通りの生活を送ることになります。例えば、ある人が不顕性感染によって風邪のウイルスを持っているとします。この人は、自分が風邪のウイルスを持っていることに全く気づいていません。そして、咳やくしゃみを手で押さえなかったり、周りの人と近づきすぎたりしてしまうかもしれません。このように、不顕性感染は、感染した本人が気づかないうちに、周りの人に病気を広げてしまう可能性があるという点で、注意が必要です。特に、高齢者や病気で免疫力が低下している人にとっては、不顕性感染であっても、重症化するリスクがあります。私たちは、自分自身が感染源にならないように、普段から予防を心がけることが重要です。具体的には、こまめな手洗いやうがい、マスクの着用、適切な換気など、基本的な感染対策を徹底することが大切です。
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致死率の高い感染症:ニパウイルスとは?

1998年から1999年にかけて、マレーシアでそれまで誰も知らない病気が突如発生しました。高い熱が出て、脳が炎症を起こしたような症状が出るこの病気は、原因も分からず、多くの人が亡くなり、人々に恐怖が広がりました。後に、この病気の原因はニパウイルスというウイルスであることが分かりました。ニパウイルスは、日本で流行した脳炎を起こすウイルスと近い種類のウイルスで、豚を介して人に感染することが明らかになりました。ニパウイルスに感染した豚は、特に症状が出ないことが多いですが、人に感染すると、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状が出ます。さらに、意識障害やけいれんを起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。ニパウイルスに対する有効な治療法はまだ確立されておらず、感染を予防することが最も重要です。豚との接触を避け、豚肉は十分に加熱してから食べるなど、日頃から予防対策を心がけましょう。
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免疫力を高める栄養管理

- 免疫強化栄養とは私たちの体は、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るために免疫というシステムを持っています。そして、この免疫システムを正常に働かせるためには、日々の食事からバランス良く栄養を摂ることがとても重要です。免疫強化栄養とは、食事を通して特定の栄養素を積極的に摂ることで、免疫力を高め、病気に対する抵抗力を強める栄養管理の方法です。毎日の食事に気を配ることはもちろんのこと、場合によっては、サプリメントなどの栄養補助食品を活用することも効果的です。具体的には、免疫細胞の働きを助けるタンパク質、ビタミン、ミネラルなどを積極的に摂取します。免疫強化栄養は、手術後や怪我からの回復を早めたり、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防したりする効果が期待されています。また、高齢者や持病のある方など、免疫力が低下しやすい方にもおすすめです。日々の食事を見直し、免疫力を高めることで、私たちはより健康で元気に過ごすことができます。
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静かな脅威:破傷風について

- 身近に潜む破傷風菌破傷風は、破傷風菌という細菌が原因で起こる感染症です。この細菌は、土の中など、私たちの身の回りのどこにでもいる、ごくありふれたものです。普段は土の中で静かに過ごしており、私たちに危害を加えることはありません。しかし、傷口から私たちの体の中に入ると、毒素と呼ばれる体に悪い物質を作り出し、深刻な症状を引き起こすことがあります。破傷風菌は、特に土の中に多く存在しています。そのため、土いじりやガーデニングなどをしていると、知らず知らずのうちに傷口から菌が侵入している可能性があります。また、錆びた釘や刃物で怪我をした場合にも注意が必要です。これらのものには、破傷風菌が付着していることが多いためです。破傷風は、早急に適切な治療を行えば、治癒する病気です。しかし、治療が遅れると、全身の筋肉が硬直したり、けいれんを起こしたりするなど、深刻な症状に悩まされることになります。最悪の場合、命を落とす危険性もゼロではありません。破傷風を予防するためには、日頃から怪我をしないように注意することが大切です。また、万が一、傷を負った場合には、すぐに傷口を洗い流し、消毒するなど適切な処置を行いましょう。そして、破傷風に対する免疫をつけるために、定期的なワクチンの接種も有効な手段となります。
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蚊にご用心!デング熱から身を守る方法

- デング熱とはデング熱は、蚊が媒介するウイルスによって引き起こされる感染症です。感染すると、高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など、まるで重い風邪に似た症状が現れます。多くの人はこれらの症状が1週間程度続き、その後自然に回復します。しかし、油断は禁物です。場合によっては、さらに重い症状を引き起こすことがあります。具体的には、皮膚に出血斑が現れたり、鼻血や歯茎からの出血が見られることがあります。さらに深刻なケースでは、出血性ショックを引き起こし、命に関わることもあります。特に、小さなお子さんや高齢の方、普段から病気を抱えている方は、重症化するリスクが高いと言えるでしょう。デング熱に対する特別な治療法はありません。そのため、症状が現れた場合は、安静にして水分を十分に摂り、医師の指示に従って下さい。そして、何よりも重要なことは、デング熱にかからないように予防することです。デングウイルスを媒介する蚊は、主に昼間に活動し、家の中やその周辺に生息しています。そのため、蚊に刺されないように、虫除けスプレーを使用したり、長袖長ズボンを着用するなどの対策が必要です。また、蚊の発生源となる水たまりをなくすことも大切です。
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命を守る!敗血症性ショックの早期発見と対応

- 静かなる脅威敗血症性ショックとは敗血症性ショックは、細菌などの微生物が血液中に入り込み、全身に炎症を引き起こす敗血症の中でも、特に重症化した状態です。体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物と戦うために、私たちの体は様々な防御反応を起こします。しかし、この反応が過剰に起こってしまうと、炎症を引き起こす物質が血液中に大量に放出されてしまいます。これらの物質は、血管を拡げてしまうため、血圧の低下を引き起こします。点滴などによって水分を補給しても、血管が拡がった状態が続くため、血圧は上がりにくくなります。敗血症性ショックでは、心臓や肺、腎臓などの重要な臓器に十分な血液が行き渡らなくなります。その結果、臓器の機能が低下し、最悪の場合、死に至ることもあります。敗血症性ショックは、初期段階では、脈が速くなる、呼吸が速くなる、熱が出る、または体温が低下する、尿の量が減るなどの症状が現れます。さらに症状が進むと、意識がもうろうとしたり、血圧が急激に低下したりします。敗血症性ショックは、早期に発見し、適切な治療を行えば、救命できる可能性があります。少しでも異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
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知っておきたい腸の健康と免疫の関係

私たちの腸の中には、数百種類、数十兆個もの腸内細菌が住んでいて、健康を保つために大切な役割をしています。ふだん、これらの細菌は腸の中にとどまり、食べ物の消化や吸収を助けたり、免疫の力を調整したりしています。しかし、特定の状況下では、これらの腸内細菌が腸の壁を破って、体の別の場所に移動することがあります。これが「バクテリアルトランスロケーション」と呼ばれる現象です。バクテリアルトランスロケーションが起こると、細菌やその毒素が血液の中に入り込み、全身に炎症を引き起こす可能性があります。これは、免疫力が低下している人にとっては特に危険で、敗血症や複数の臓器が機能しなくなるなどの重い状態を引き起こす可能性があります。例えば、手術や病気、栄養不足などが原因で体力が弱っているときや、ストレスを感じているときなどは、腸内細菌のバランスが崩れやすく、バクテリアルトランスロケーションのリスクが高まります。健康な状態を保ち、腸内環境を整えておくことは、バクテリアルトランスロケーションを防ぐ上で重要です。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高めるようにしましょう。
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生物テロにも注意!炭疽菌から身を守る

- 炭疽菌とは炭疽菌は、土壌中に普通に存在する細菌です。牛や羊、山羊などの草食動物が感染する病気として有名ですが、人にも感染することがあります。炭疽菌は、乾燥すると「芽胞」という非常に強い状態になり、土壌中で長い間生き続けることができます。人が炭疽菌に感染する経路は主に3種類あります。一つ目は、「皮膚炭疽」です。これは、炭疽菌に汚染された土壌、動物の体やその毛、皮などに直接触れることで、皮膚から菌が侵入し、感染する経路です。炭疽に感染した動物の肉を扱う作業者などに多く見られます。二つ目は、「消化器炭疽」です。これは、炭疽菌に汚染された肉などの食品を食べることで感染します。十分に加熱調理されていない肉を食べることで感染するリスクがあります。三つ目は、「吸入炭疽」です。これは、炭疽菌の芽胞を空気と共に吸い込むことで感染します。過去には、羊毛などを扱う工場などで集団発生したことがありますが、現在では、工場の衛生管理が進むとともに、発生は少なくなっています。炭疽菌への感染は稀ですが、感染した場合は適切な治療が必要です。疑わしい症状が出た場合は、速やかに医療機関に相談しましょう。
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病院感染を防ぐためにできること

病院という場所は、病気の方々が治療を受けるために集まる場所ですが、同時に、そのために多くの病原体が持ち込まれる可能性がある場所でもあります。病院感染とは、このような医療施設内で、患者さんや医療従事者が新たに感染症に罹ってしまうことを指します。これは、入院中に限らず、退院後に発症する場合も含まれます。感染経路は様々で、外部から持ち込まれるケースと院内に存在するものが原因となるケースが考えられます。例えば、季節性の流行性感冒などが、外から持ち込まれてしまい、院内で患者さんの間、あるいは患者さんと医療従事者の間で広がってしまうことがあります。また、院内では、免疫力が低下した患者さんが多く入院されていることから、院内で発生した多剤耐性菌の感染などが広がってしまう可能性もあります。病院感染は、患者さんの病気の回復を遅らせたり、重症化させたりする可能性があります。そのため、医療施設では、手洗きの徹底や消毒、隔離などの感染対策を徹底することで、病院感染のリスクを減らす取り組みを行っています。
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命を守る!知っておきたい敗血症の基礎知識

- 静かなる脅威敗血症とは敗血症は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体に対する過剰な免疫反応によって、全身に炎症が広がる深刻な病気です。肺炎や尿路感染症などの感染症が引き金となって発症することが多く、決して珍しい病気ではありません。風邪や軽い怪我など、普段の生活で誰もが経験するようなありふれた状況がきっかけで発症する可能性もあるため、決して他人事ではありません。敗血症の初期症状は、発熱や悪寒、だるさ、息切れ、心拍数の増加など、他の病気と非常に似ており、見分けることが難しいケースも多いです。そのため、風邪かな、疲れかなと軽く考えてしまいがちですが、適切な治療をせずに放置すると、臓器不全やショック状態に陥り、命に関わる危険性があります。敗血症を予防するためには、日頃から手洗いとうがいを徹底し、感染症にかからないように注意することが大切です。また、糖尿病やがんなどの基礎疾患がある場合は、免疫力が低下しやすいため、より一層注意が必要です。少しでも敗血症の可能性が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしてください。早期発見と迅速な治療が、敗血症の克服には非常に重要となります。
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見えない脅威:生物兵器とは?

- 生物兵器の定義生物兵器とは、目に見えないほど小さな生き物である病原体や、それらが作り出す毒物を兵器として利用したものです。 病原体には、細菌、ウイルス、リケッチアなどが含まれます。これらの微生物は、人の体内に侵入すると、増殖し、様々な症状を引き起こします。例えば、細菌は、食中毒のように激しい下痢や嘔吐を引き起こすものや、肺炎のように呼吸器に深刻な影響を与えるものなどがあります。ウイルスは、風邪のように比較的軽い症状のものから、インフルエンザのように高熱や倦怠感を伴うもの、エボラ出血熱のように致死率の高いものまで、様々な種類が存在します。リケッチアは、発疹や発熱などを引き起こす感染症の原因となります。これらの病原体や毒物を兵器として利用することは、戦争やテロ行為において、人々を無差別に攻撃し、社会に混乱と恐怖をもたらす可能性があります。生物兵器は、一度拡散してしまうと、その影響範囲を特定し、封じ込めることが非常に困難です。また、治療法が確立されていない病原体も存在するため、多くの人々の命を奪う危険性も孕んでいます。生物兵器の使用は国際的に禁止されていますが、その脅威は依然として存在します。そのため、私たちは生物兵器に関する知識を深め、その危険性について常に意識しておく必要があります。
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国を守る!検疫の重要性

- 検疫とは検疫とは、海外から国内へ病気(伝染病)が持ち込まれることを防ぐための大切な取り組みです。世界には、国や地域によって様々な病気が存在し、私たちにとって馴染みの薄い病気も数多くあります。もしもこれらの病気が国内に侵入し、人から人へと広がってしまうと、人々の健康が脅かされるだけでなく、社会や経済にも大きな影響を与える可能性があります。このような事態を防ぐために行われているのが検疫です。具体的には、空港や港など、国境となる場所で、入国する人や動物、輸入される荷物などを対象に、検査や消毒などの措置が行われます。検疫では、発熱や咳などの症状がある人に対して、詳しい問診や検査を行い、感染症の疑いがある場合は、医療機関へ搬送したり、一定期間、施設や自宅で待機してもらうなどの対応が取られます。また、輸入される植物や動物についても、病気の発生状況に応じて、検査や消毒、一定期間の隔離などの措置がとられます。検疫は、私たち一人ひとりの健康と安全を守るだけでなく、国の経済や社会活動を守るためにも非常に重要な役割を担っています。海外からの病気の侵入を防ぐためには、検疫制度への理解と協力が不可欠です。
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選択的消化管除菌:病院感染症予防の新たな展望

病院で治療を受けることは、時に感染症のリスクを伴うことがあります。免疫力が低下している患者さんにとって、院内感染は深刻な合併症を引き起こし、回復を遅らせる可能性があります。病院には、病気の治療を必要とする多くの人が集まります。その中には、免疫力が低下している方や、抵抗力が弱い方も少なくありません。このような方々は、健康な人であれば感染しないような、弱い細菌やウイルスにも感染しやすくなっています。これが、病院感染症が大きな問題となる理由です。特に、集中治療室(ICU)などの医療現場では、様々な細菌や真菌に曝露されるリスクが高まります。ICUは、重症患者さんの治療を行う場所であるため、多くの医療機器や薬剤が使用されます。これらの機器や薬剤は、患者さんの命を救うために必要不可欠なものではありますが、同時に、細菌やウイルスが付着しやすく、感染源となる可能性も孕んでいます。病院側も、院内感染を防ぐために、様々な対策を講じています。例えば、手洗いや消毒の徹底、マスクの着用、空気清浄などです。また、患者さんごとに使用する医療機器を滅菌したり、使い捨てのものを導入するなど、様々な工夫が凝らされています。私たちも、病院で治療を受ける際には、これらのことに注意し、自分自身を守ることが大切です。
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サーベイランス:感染症から身を守る仕組み

- サーベイランスとはサーベイランスとは、感染症など、人々の健康に影響を与える可能性のある病気の動向を常に監視することです。これは、まるで病気の動きを探る探偵のような役割を果たします。具体的には、感染者数や亡くなる方の数の変化、流行している地域、患者さんの年齢や性別といった様々な情報を集め、分析します。サーベイランスの目的は、病気の発生状況を早期に把握し、適切な対策を講じることで、人々の健康を守ることです。例えば、ある地域で特定の感染症の患者さんが急増した場合、サーベイランスによっていち早くその状況を把握することができます。そして、流行の原因を突き止め、感染拡大を防ぐための対策を迅速に実施することができます。サーベイランスで得られた情報は、医療従事者間で共有され、病気の予防や治療に役立てられます。また、一般の人々にも情報提供することで、一人ひとりが予防対策を講じたり、早期に医療機関を受診したりするなど、健康を守る行動を促すことができます。このように、サーベイランスは、目に見えない病気の脅威から私たちを守るために、重要な役割を担っているのです。
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免疫の暴走?サイトカインストームとは

私たち人間の体には、体に害をなす細菌やウイルスなどの病原体から身を守る、「免疫」という優れた仕組みが備わっています。この免疫システムは、体内に入り込んだ病原体を攻撃し、体外へ排出することで私たちの健康を守っているのです。免疫システムにおいて中心的な役割を担うのが、免疫細胞です。体内をパトロールし、病原体を見つけ出すと、攻撃を仕掛けます。さらに、一度侵入した病原体を記憶し、次に侵入した際に素早く対応できるように備えています。この免疫細胞たちが互いに情報をやり取りするために使っているのが、「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質です。サイトカインは、免疫細胞から分泌され、細胞間を飛び交うメッセンジャーのように、他の細胞に指令を出します。「攻撃を開始せよ」「増殖せよ」「炎症を起こせ」といった具合に、状況に応じて様々なメッセージを伝達することで、免疫反応の調整役を担っているのです。このように、サイトカインは、私たちの体が病気から身を守る免疫システムにおいて、非常に重要な役割を担っています。サイトカインの働きが乱れると、免疫システムが正常に機能せず、様々な病気につながることがあります。
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身近に潜む危険、中毒とその対策

- 中毒とは私たちの身の回りには、口に入れたり、吸い込んだりすることで、体に害を及ぼすものがたくさんあります。このような物質の有害な性質によって、体に不調が現れることを「中毒」といいます。中毒は、誤って口に入れてしまった場合に起こることが多くあります。例えば、幼い子供が誤って洗剤を飲んでしまったり、大人が薬品と間違えて農薬を飲んでしまったりするケースが挙げられます。また、使い方を誤った場合にも、中毒症状が現れることがあります。例えば、殺虫剤を部屋に大量に散布したために、その成分を大量に吸い込んでしまったり、調理器具の使い方を誤ってフグ毒を摂取してしまったりすることがあります。中毒症状は、原因となる物質の種類や量、そして体の状態によって大きく異なります。軽い場合には、吐き気やめまい、腹痛などがみられますが、重症化すると、意識障害や呼吸困難、痙攣などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。中毒を引き起こす物質は、洗剤や農薬などの人工的に作られた化学物質だけでなく、自然界に存在するものも少なくありません。毒キノコやフグ、トリカブトなどは、誤って口にしてしまうと、体に深刻な影響を与える可能性があります。日常生活の中で、中毒を防ぐためには、危険な物質を正しく理解し、適切に管理することが何よりも大切です。特に、小さな子供がいる家庭では、子供が誤って口に入れてしまうことのないよう、置き場所や保管方法に十分注意する必要があります。
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身近に潜む危険!中毒性ショック症候群とは?

- 中毒性ショック症候群の概要中毒性ショック症候群は、体に有害な物質を作る細菌が引き起こす、命に関わる危険性もある深刻な病気です。主に黄色ブドウ球菌やA群溶血連鎖球菌といった細菌が原因となります。これらの細菌は、健康な人の皮膚や鼻の中などにもともと存在している場合があり、普段は悪さをしません。しかし、傷口や粘膜などから体内に侵入し、増殖すると毒素を作り出すようになります。この毒素が血液中に入ると、全身に運ばれて様々な臓器に悪影響を及ぼします。中毒性ショック症候群になると、高い熱が出る、血圧が急激に下がる、体に赤い斑点が出るといった症状が現れます。また、吐き気や嘔吐、下痢、筋肉痛、意識障害など、風邪や食中毒に似た症状が現れることもあります。さらに、症状が進むと腎臓や肝臓などの臓器が正常に機能しなくなり、命に関わる危険性も高まります。特に1980年代には、生理中の女性がタンポンを使用していたことが原因で、中毒性ショック症候群が多発した事例が広く知られています。タンポンの長時間使用は、細菌が増殖しやすい環境を作り出すため、注意が必要です。しかし、タンポンを使用していなくても、傷口や手術後、火傷後などに発症するケースもあります。中毒性ショック症候群は、早期に発見し、適切な治療を行えば回復の可能性が高い病気です。少しでも疑わしい症状がある場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
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免疫の力:追加免疫でさらに強化

私たちは、一度病気にかかったり、予防接種を受けたりすると、その病気の原因となる病原体に対する抵抗力を獲得します。これは、まるで体が過去の侵入者を「記憶」しているかのようで、次に同じ病原体が侵入してきたときに、素早く撃退できるように準備を整えている状態といえます。この体の防御システムの記憶は、免疫記憶と呼ばれ、私達が健康を維持する上で非常に重要な役割を担っています。免疫記憶は、主にリンパ球と呼ばれる白血球によって支えられています。リンパ球の中には、特定の病原体を認識し、攻撃する能力を持つものがあり、一度その病原体と戦った経験を持つリンパ球は、記憶細胞として体内に長く留まります。次に同じ病原体が侵入してきたときには、これらの記憶細胞が素早く増殖し、効率的に病原体を攻撃することで、発症を防いだり、症状を軽くしたりすることができるのです。しかし、この免疫記憶は、時間の経過とともに薄れてしまうことがあります。そのため、はしかやおたふく風邪など、一度かかると生涯免疫が得られると考えられている病気もありますが、インフルエンザのように、時間の経過とともに免疫が弱まり、再び感染する可能性のある病気もあります。また、加齢によっても免疫機能は低下するため、高齢者は感染症にかかりやすくなる傾向があります。免疫記憶を維持するためには、予防接種が有効な手段となります。予防接種は、病原体を弱毒化したり、無毒化したりしたものを体内に入れることで、免疫システムに病原体を「記憶」させることができます。また、健康的な生活習慣を維持することも、免疫機能を正常に保つために重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。