命を守る緊急処置:焼痂切開の重要性
防災防犯を教えて
『焼痂切開』って、ひどい火傷の時にするんですよね?具体的にどんな時に必要になるんですか?
防災防犯の研究家
そうだね。ひどい火傷、特にⅢ度熱傷や深達性Ⅱ度熱傷の時に必要になるケースが多い。皮膚が焼けて硬くなってしまうと、体の動きを阻害したり、血流が悪くなったりするんだ。その時に、硬くなった皮膚を切って圧迫を和らげる処置だよ。
防災防犯を教えて
体の動きを阻害するって、どういうことですか?
防災防犯の研究家
例えば、胸にひどい火傷を負うと、皮膚が硬くなって呼吸する時に胸がうまく膨らまなくなる。そうすると、十分な呼吸ができなくなってしまうだろう?そのような場合に焼痂切開が必要になるんだ。
焼痂切開とは。
火事や事故などで皮膚がひどく焼けてしまったとき、特に深いヤケドの場合、皮膚が硬くなってしまうことがあります。この硬くなった皮膚を「焼痂(しょうか)」と呼びます。もし、胸やお腹など広い範囲で焼痂ができてしまうと、呼吸に合わせて胸が膨らんだり縮んだりする動きが妨げられ、息苦しさを感じることがあります。また、腕や足全体に焼痂ができた場合、血液の流れが悪くなり、指先などが青紫色になったり、感覚が鈍くなったり、痺れたりすることがあります。このような危険な状態を防ぐため、「焼痂切開」という処置を行います。これは、硬くなった焼痂を切開して、皮膚の下の組織を圧迫から解放する処置です。切開は、体や腕、足の軸に沿って行い、焼けた皮膚の層すべてを切る必要があります。切開後は出血をしっかりと止めますが、包帯などで強く圧迫してはいけません。
熱傷による皮膚の変化と影響
私たちの体を外部の刺激から守ってくれる皮膚は、熱によって様々な程度の損傷を受けます。その中でも、特に高温な物体に触れたり、炎に巻き込まれたりすることで生じる重度の熱傷は、皮膚に深刻な変化をもたらします。
Ⅲ度熱傷や深達性Ⅱ度熱傷では、皮膚のすべての層が破壊され、まるで熱い湯で固まった卵の白身のように、白や茶褐色に変色し硬くなります。 この状態は『焼痂』と呼ばれ、皮膚本来の柔軟性や弾力性を完全に失っているため、体の動きを大きく制限してしまうことがあります。
例えば、胸やお腹など体幹と呼ばれる部分に広範囲に焼痂が及ぶと、呼吸をする際に胸郭が膨らんだり縮んだりする動きが阻害され、十分な呼吸ができなくなることがあります。 呼吸は生命維持に不可欠な機能であるため、このような場合は直ちに医療機関での治療が必要となります。
また、腕や足に広範囲にわたる焼痂が生じた場合、血液の流れが悪くなり、指先が青白くなるチアノーゼや、感覚が鈍くなる、痺れが出るといった症状が現れることがあります。 さらに、重症化すると筋肉が壊死し、手足を切断せざるを得ないケースも少なくありません。このように、熱傷は皮膚の損傷だけでなく、体の機能や生命にも重大な影響を及ぼす可能性があることを理解しておく必要があります。
熱傷の深さ | 症状 | 影響 | 具体的な症状 |
---|---|---|---|
Ⅲ度熱傷 深達性Ⅱ度熱傷 |
皮膚のすべての層が破壊 白や茶褐色に変色し硬くなる(焼痂) 柔軟性や弾力性を失う |
体の動きを制限 呼吸困難 血流悪化 重症化すると筋肉の壊死 |
|
焼痂切開:圧迫から解放する処置
火傷を負った際、皮膚が損傷し、その後かさぶたのように硬くなることがあります。これは自然な治癒過程の一部ではありますが、場合によっては、この硬くなった部分が体にとって危険な状態を引き起こすことがあります。
硬くなったかさぶたは、まるで体にきつく巻かれた bandages のように、体の一部を締め付け、血流を阻害することがあります。特に、胸部を締め付ける場合は呼吸が苦しくなり、腕や足を締め付ける場合は、その先の部分に血液が行き渡らなくなってしまいます。
このような深刻な事態を防ぐための緊急処置として、『焼痂切開』があります。これは、文字通り、硬くなったかさぶたにメスで切れ目を入れる処置です。 この処置によって、締め付けられていた部分への圧力が解放され、血流や呼吸が改善されます。 例えば、胸部の場合は、胸の動きを制限しているかさぶたに沿って切れ目を入れることで、呼吸が楽になります。腕や足の場合は、血流を阻害しているかさぶたを切開し、再び血液がスムーズに流れるように促します。
焼痂切開は、迅速かつ適切な処置が求められる、まさに命を守るための緊急処置といえます。
火傷後の症状 | 問題点 | 緊急処置 | 効果 |
---|---|---|---|
皮膚の損傷とかさぶた化 | かさぶたによる体の締め付け | 焼痂切開 (かさぶたに切れ目を入れる) | 圧力解放による血流・呼吸の改善 |
– 胸部を締め付ける | 呼吸困難 | 胸部の焼痂切開 | 呼吸の改善 |
– 腕や足を締め付ける | 血流阻害 | 腕や足の焼痂切開 | 血流の回復 |
焼痂切開の方法と注意点
– 焼痂切開の方法と注意点火傷を負った際、皮膚が損傷し、その部分が革のように硬くなることがあります。これを焼痂と呼びますが、この焼痂が体の広範囲に及ぶと、血液の流れが悪くなり、様々な臓器に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状態を防ぐために行われるのが焼痂切開です。焼痂切開は、体の軸に沿って、メスを用いて皮膚を切開する処置です。体幹であれば胸の中心からお腹の中心に向かって、四肢であれば腕や足の付け根から先端に向かって切開を行います。切開する深さは、熱傷による損傷組織全体に達するまでと、非常に深くなければなりません。これは、皮膚の奥にある筋肉や血管などの組織への圧迫を取り除き、血流を回復させるためです。焼痂切開で特に注意すべき点は、切開後も出血を完全に止血しようとしないことです。出血は体にとって危険信号ではありますが、焼痂切開においては、出血があることで血流が確保されていると判断できます。そのため、圧迫包帯などで出血を無理に止めようとすると、せっかく切開した部分の圧迫が再開され、血流が再び悪くなってしまう可能性があります。焼痂切開は、高度な知識と技術が求められる医療行為です。安易な自己判断での実施は大変危険ですので、専門家の指示に従ってください。日頃から正しい知識を身につけておくことが、緊急事態における適切な処置に繋がります。
処置 | 方法 | 目的 | 注意点 |
---|---|---|---|
焼痂切開 | 体の軸に沿ってメスで皮膚を切開する。深さは損傷組織全体に達するまで。 | 皮膚の奥の組織への圧迫を取り除き、血流を回復させる。 | 切開後も出血を完全に止血しようとしない。出血は血流が確保されているサイン。 |