外傷性窒息: 圧迫による見えない脅威
防災防犯を教えて
『外傷性窒息』って、どんな怪我かよくわからないんですけど…
防災防犯の研究家
そうか。たとえば、機械に挟まれたり、階段で人が将棋倒しになった時みたいに、胸が強く押さえつけられることを想像してみて。
防災防犯を教えて
ああ、苦しそうですね…。それで、息ができなくなるんですか?
防災防犯の研究家
その通り。胸が圧迫されると、肺に空気が入らなくなるだけでなく、体の中を流れる血液の流れも悪くなって、顔色が変わったり、意識を失ってしまうこともあるんだ。
外傷性窒息とは。
「防災や防犯に関係する言葉、『外傷性窒息』について説明します。機械に挟まれたり、階段で人が折り重なるように倒れたり、土砂に埋もれたりして、胸を強く押さえつけられることで起こります。息の通り道である声門が閉じた状態で、胸郭に強い力が加わると、気道の内圧が上がると同時に血管の内圧も上がります。大きな静脈である大静脈と頸静脈は、血液の逆流を防ぐ弁がないため、胸部が圧迫されると、上半身の静脈の圧力が上がります。その結果、顔や首を中心に、赤紫色の腫れや、たくさんの皮下出血が現れます。同時に脳への血流も悪くなり、意識を失います。その後は、酸素不足と脳へのダメージの程度によって症状が変わってきます。」
事故と窒息の関係
事故と聞くと、自動車同士がぶつかる様子や、高いところから落ちてしまう様子を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん、交通事故や転倒は重大な事故です。しかし、事故には、火災や水難など、様々な種類があります。そして、これらの事故で忘れてはならないのが、事故による怪我や衝撃によって呼吸ができなくなってしまう「外傷性窒息」という危険です。
外傷性窒息は、事故によって胸やお腹を強く圧迫されることで、肺に空気が入らなくなり、呼吸困難に陥る状態を指します。例えば、工場などで機械に挟まれたり、工事現場で足場が崩れて体の一部が挟まれたりすることで起こることがあります。また、階段で転倒して将棋倒しになったり、雪崩や土砂崩れに巻き込まれたりするなど、私たちの身近にも危険は潜んでいます。
外傷性窒息は、一刻を争う危険な状態です。事故現場では、まず、周囲の安全を確保し、直ちに救急車を要請しましょう。そして、可能であれば、二次災害を防ぎながら、呼吸がしやすい体位を保つなどの応急処置を行うことが重要です。
外傷性窒息のメカニズム
– 外傷性窒息のメカニズム私たちは、普段何気なく呼吸をしていますが、この呼吸には胸郭と肺の動きが大きく関わっています。息を吸う時、胸郭が広がることで肺に空気が入り、息を吐く時には胸郭が縮んで肺から空気が出ていきます。しかし、事故や災害などで強い力が胸に加わると、この胸郭の動きが妨げられてしまいます。例えば、建物の倒壊などで胸が圧迫されると、胸郭が広がることができず、肺に十分な空気を吸い込めなくなります。これが外傷性窒息の主な原因です。さらに、強い圧迫によって肺の中の空気が押し出され、呼吸がさらに困難になることもあります。また、状況によっては、肋骨が折れて肺を傷つけたり、気道が塞がったりすることで、呼吸困難が悪化する可能性もあります。このように、外傷性窒息は、胸部への強い圧迫によって呼吸機能が著しく低下することで引き起こされます。そのため、事故や災害現場では、二次災害を防ぐためにも、速やかに安全を確保し、負傷者の状態を確認することが重要です。
特徴的な症状: 顔面と頸部の変化
事故や災害などで、胸やお腹を強く圧迫されると、呼吸困難に陥ることがあります。このような外傷性窒息では、顔や首の色が変化することがあります。これは、胸部が圧迫されることで、血液の流れが悪くなるために起こります。
通常、心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身に運ばれ、静脈を通って心臓に戻ります。しかし、胸部が圧迫されると、静脈を流れる血液が心臓に戻りにくくなるため、顔や首など体の末端部分に血液が滞ってしまいます。
さらに、皮膚の下にある毛細血管も損傷しやすくなります。その結果、皮下出血が起こり、顔や首に赤紫色の斑点や痣が現れることがあります。顔や首の皮膚は薄いため、内出血が目立ちやすく、この変化は、外傷性窒息の重要なサインとなります。
顔や首に変色が見られる場合、直ちに医療機関に連絡し、指示を仰いでください。
症状 | 原因 | メカニズム |
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呼吸困難 | 胸部圧迫による外傷性窒息 | 胸部圧迫により血液循環が阻害される |
顔や首の色の変化(赤紫色) | 静脈還流障害、皮下出血 |
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一刻を争う事態: 迅速な対応が鍵
外傷性窒息は、強い衝撃や圧迫によって気道が塞がり、呼吸困難に陥る非常に危険な状態です。この状態は一刻を争い、迅速な対応が救命率に大きく関わってきます。事故現場などに居合わせた周囲の人は、まず直ちに救急車を要請してください。救急隊への通報と並行して、安全を確認した上で傷病者を圧迫から解放することが重要です。
衣服や事故現場のがれきなど、気道を塞いでいるものを速やかに取り除き、呼吸ができるようにしてあげてください。呼吸が停止している場合は、ためらわずに心肺蘇生などの応急処置を開始する必要があります。
外傷性窒息は、迅速かつ適切な処置を行えば救命できる可能性が高い状態です。周囲の人の冷静な判断と行動が、尊い命を救うことに繋がります。
外傷性窒息とは | 強い衝撃や圧迫によって気道が塞がり、呼吸困難に陥る状態 |
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発生時の対応 | 1. 直ちに救急車を要請 2. 安全を確認し、傷病者を圧迫から解放 3. 気道を塞いでいるものを速やかに取り除く 4. 呼吸停止の場合は、心肺蘇生などの応急処置を開始 |
予防と意識: 安全確保の重要性
– 予防と意識 安全確保の重要性予期せぬ事故によって命を落とすことは、誰にとっても悲しい出来事です。特に、外傷性窒息は、少しの注意や意識で防ぐことができるケースが多いため、日頃から安全に対する意識を高めておくことが重要になります。仕事場では、機械操作や作業手順を正しく理解し、安全装置を適切に使うことは基本中の基本です。慣れた作業でも、気を緩めることなく、常に安全手順を確認する習慣をつけましょう。また、作業場には整理整頓を心がけ、物が落ちてくる危険性がないか、常に気を配ることが大切です。家庭では、特に小さな子どもがいる家庭では、窒息の危険性が高いため、注意が必要です。おもちゃや日用品など、口に入ってしまうような小さな物は、子どもの手の届かない場所に置きましょう。また、紐状のものやビニール袋なども窒息の原因となるため、注意が必要です。子どもが遊んでいる際には、周囲に危険な物がないか、常に注意深く見守るようにしましょう。安全に対する意識を高め、「もしかしたら」という想像力を働かせることが、事故を未然に防ぐための第一歩となります。私たち一人ひとりが意識して安全対策に取り組むことで、大切な命を守ることができるのです。
場所 | 窒息事故の予防策 |
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職場 | – 機械操作や作業手順の正しい理解と安全装置の適切な使用 – 慣れた作業でも安全手順を確認する習慣をつける – 整理整頓を心がけ、物が落ちてくる危険性をなくす |
家庭(特に幼児がいる場合) | – 口に入ってしまうような小さな物は子どもの手の届かない場所に置く – 紐状のものやビニール袋などにも注意 – 子どもが遊んでいる際には、周囲に危険な物がないか注意深く見守る |