見えにくい傷跡:外傷後ストレス障害について
防災防犯を教えて
先生、この「外傷後ストレス障害」って、具体的にどんな時に起こるのですか? 戦争を経験した人以外でもなることがあるのでしょうか?
防災防犯の研究家
いい質問ですね。確かに戦争は典型的な例ですが、外傷後ストレス障害は、戦争以外でも、大きな事故、災害、犯罪被害、虐待など、命の危険を感じたり、強い恐怖や無力感を味わったりする出来事を経験した後に起こることがあります。
防災防犯を教えて
そうなんですね。命の危険を感じなくてもなることはありますか?
防災防犯の研究家
はい、人によって感じ方は違うので、一概には言えませんが、例えば、いじめやハラスメント、大切な人の死などがきっかけで発症することもあります。重要なのは、その出来事が、本人にとってどれほどの衝撃だったか、ということです。
外傷後ストレス障害とは。
「防災・防犯に関係する言葉である『心的外傷後ストレス障害』は、強い恐怖や無力感を感じさせるような体験、体に危険が及ぶような体験によって心の傷を負い、その後に心や体の病気として反応が出てしまう病気のことです。これまで、気分が落ち込んでしまう病気や、自分自身と向き合うことが難しくなる病気、人とのお付き合いがうまくいかない病気と診断されていたケースも、この病気に含まれることがあります。アメリカでは、ベトナム戦争から帰ってきた兵士や、性的な暴力を受けた人に見られる心と体の障害が社会問題となり、この病気の研究が大きく進展しました。過去に強いストレスを受けた経験があり、その時のつらい体験が繰り返しよみがえってくる、つらい体験を思い出させることを避けるために行動範囲が狭くなる、夜も眠れない、イライラするといった症状が続き、日常生活に支障が出ている場合は、この病気と診断されます。
心の傷跡:外傷後ストレス障害とは
– 心の傷跡外傷後ストレス障害とは外傷後ストレス障害(PTSD)は、私たちの心に深い傷跡を残し、様々な症状を引き起こす障害です。交通事故や自然災害、犯罪被害、虐待など、日常生活では考えられないような衝撃的な出来事を経験した後、その時の恐怖や無力感が忘れられず、心の傷が癒えない状態が続きます。まるで時間が止まってしまったかのように、当時の記憶や感情が突然よみがえる「フラッシュバック」は、PTSD患者を特に苦しめる症状の一つです。悪夢にうなされたり、不安や緊張が強まり、常に危険を感じて過剰に警戒したりする人もいます。些細な物音や出来事に驚いてしまうなど、周囲の人には理解されにくい症状に苦しむこともあります。心の疲労は、集中力や記憶力の低下、趣味や仕事への意欲減退にもつながります。かつては楽しめていたことができなくなり、社会生活に支障をきたすこともあります。PTSDは決して特別な人がなるものではありません。衝撃的な出来事に遭遇した人なら、誰でも発症する可能性があります。もし、あなたやあなたの周囲の人がPTSDの症状で苦しんでいる場合は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することをお勧めします。
外傷後ストレス障害(PTSD)とは | 症状 | 特徴 |
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衝撃的な出来事を経験した後に生じる心の障害 | ・フラッシュバック ・悪夢 ・不安や緊張 ・過剰な警戒 ・集中力や記憶力の低下 ・趣味や仕事への意欲減退 |
・誰でも発症する可能性がある ・周囲に理解されにくい症状もある ・一人で抱え込まず専門機関に相談することが重要 |
見えにくい苦しみ:症状と影響
– 見えにくい苦しみ症状と影響心の傷であるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、その症状が多岐にわたり、目に見えないために、周囲の人々に理解されにくいという側面があります。そのため、苦しんでいる人々は、その辛さを一人で抱え込んでしまうことが少なくありません。PTSDの症状は人によって大きく異なりますが、主なものとしては、強い不安感や恐怖心が挙げられます。また、何をするにも気力がわかない無気力感や、将来に対して希望が持てない絶望感に苛まれることもあります。さらに、PTSDを抱える人にとって、過去のつらい記憶が、まるで今起きているかのように鮮明によみがえる「フラッシュバック」や悪夢に悩まされることがあります。これは、当時の出来事を繰り返し体験しているかのような苦痛を伴い、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。また、特定の音や匂い、場所などが過去のつらい記憶と結びついてしまい、激しい動悸や息切れ、めまいなどの身体的な症状が現れることもあります。これらの症状によって、日常生活を送ることや仕事に集中すること、そして周囲の人々との良好な人間関係を築くことが困難になり、生活の質が著しく低下してしまうこともあります。周囲の人々は、目に見えない心の傷に苦しむ人々に寄り添い、理解を示すことが重要です。
PTSDの症状と影響 |
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強い不安感や恐怖心 |
無気力感や絶望感 |
過去のつらい記憶のフラッシュバックや悪夢 |
特定の音、匂い、場所などによる身体的症状(動悸、息切れ、めまいなど) |
日常生活、仕事、人間関係への支障、生活の質の低下 |
過去の出来事との繋がり:原因と発症メカニズム
心の傷とも呼ばれるPTSDは、命に関わるような危険な出来事、強い恐怖や何もできない無力感を感じた体験がきっかけで発症します。例えば、交通事故、地震や津波などの自然災害、火事、暴力を振るわれる事件、虐待、戦争などが挙げられます。これらの体験によって、脳の働きやホルモンのバランスが乱れ、ストレスへの反応が過剰になってしまうと考えられています。
しかし、同じような体験をしても、PTSDになる人とそうでない人がいます。これは、生まれ持った体質、過去の経験、性格、周りの人の支えなど、様々な要因が複雑に関係しているためだと考えられていますが、まだはっきりとした原因は分かっていません。
PTSDは、心の傷跡が時とともに薄れていくように、自然に回復していく場合もありますが、適切なケアや治療を受けずに放置すると、症状が長引いたり、悪化したりすることがあります。そのため、トラウマ体験後、気分の落ち込みや不安、不眠、フラッシュバックなどの症状が続く場合は、早めに専門機関に相談することが大切です。
PTSDとは | 原因 | なりやすさ | 経過と対応 |
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命に関わるような危険な出来事、強い恐怖や無力感を感じた体験がきっかけで発症する心の傷 例:交通事故、自然災害、火事、暴力事件、虐待、戦争など |
脳の働きやホルモンバランスの乱れと考えられる (ストレスへの過剰反応) |
人によって発症する人としない人がいる 要因:体質、過去の経験、性格、周囲の支えなど(原因は不明) |
自然に回復する場合もある 適切なケアや治療を受けずに放置すると、症状が長引いたり悪化したりする可能性あり 症状が続く場合は専門機関へ相談 |
早期発見と適切な対応の重要性
– 早期発見と適切な対応の重要性心の傷であるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、早期に発見し、適切な対応をすることで、症状の改善や回復が見込める障害です。しかし、心の傷は目に見えないため、周囲の人々に理解されにくく、一人で悩みを抱え込んでしまうケースも少なくありません。PTSDの症状は、トラウマとなるような出来事を経験した後、数週間から数ヶ月経ってから現れることもあります。そのため、過去の出来事と現在の症状を結びつけにくく、早期発見が難しい場合もあるのです。もしも、トラウマとなるような出来事(事故、災害、暴力、虐待など)を経験した後に、気持ちが落ち込む、不安感が強い、イライラしやすい、眠れない、集中できないなどの症状が続く場合は、一人で抱え込まずに、医療機関や相談機関に相談することが大切です。PTSDの治療法としては、大きく分けて心理療法と薬物療法の二つがあります。心理療法では、専門家の元でトラウマ体験について安全な場で話すことで、心の傷を癒やしていくトラウマに焦点を当てた認知行動療法などがあります。薬物療法では、不安や抑うつ、不眠などの症状を和らげる薬が処方され、症状の緩和を目指します。PTSDは、決して恥ずべき病気ではありません。時間をかけて回復していくための道のりです。焦らず、ご自身のペースで治療に取り組むことが大切です。そして、周囲の人々は、温かく見守り、支えていくことが重要です。
PTSD(心的外傷後ストレス障害) |
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早期発見と適切な対応が重要 |
心の傷は目に見えないため、周囲の理解が大切 |
トラウマとなる出来事の数週間~数ヶ月後に症状が現れることも |
症状:気分の落ち込み、不安感、イライラ、不眠、集中力低下など |
一人で抱え込まず、医療機関や相談機関への相談を |
治療法:心理療法(トラウマに焦点を当てた認知行動療法など)、薬物療法 |
焦らず、自分のペースで治療に取り組むことが大切 |
周囲の人の温かい見守りや支えが重要 |
寄り添い支える社会の実現に向けて
近年、自然災害や事故、事件など、私たちの身の回りには、心に深い傷を負ってしまうような出来事が数多く起こっています。そして、そうした出来事を経験した人の中には、後になって心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ場合があります。PTSDは、決して他人事ではありません。いつ、誰が、どのような状況で経験するとも限りません。 あなた自身やあなたの大切な人が、明日、突然、PTSDを抱えることになる可能性だってあるのです。
だからこそ、まずはPTSDに対する正しい理解を深め、偏見や差別をなくしていくことが何よりも重要です。PTSDは、決して特別な人のみが抱えるものではなく、適切な治療と周囲の理解とサポートによって、乗り越えることができる障害なのだということを、私たちは認識しなければなりません。
では、私たち一人ひとりにできることとは何でしょうか。それは、PTSDを抱える人に対して、温かく見守り、話を聞いてあげること、そして、必要なサポートを提供することです。具体的な支援としては、医療機関への受診を促したり、相談窓口の情報提供をすることも有効です。また、PTSDは、周囲の人にはなかなか気づかれにくいという側面もあります。日頃から、周りの人の変化に気を配り、いつもと違う様子が見られたら、積極的に声をかけていくことが大切です。
心の傷を抱えた人が、安心して生活できる社会を共に目指しましょう。